電気自動車のLucid Airがテスラ車を上回る推定EPA航続距離832 kmを達成

Lucid Motors(ルシッド・モータース)は米国時間8月11日、近日発売予定の全電動ラグジュアリーセダンが1回の充電で517マイル(832km)走行可能であると発表した。米国EPAで承認されれば、これまでに発売されたどのEV(電気自動車)の記録も打ち破るものであり、Tesla(テスラ)をも上回る。

この推定EPA航続距離は9月6日のLucid Air(ルシッド・エア)発表に先立って公表された
。メーカーによるとこの数値はFEV North America, Inc.という第三者企業がミシガン州オーバーンヒルズで実施したテストによって確認された。

Lucid Motorsは、サウジアラビアの主権国家資産ファンドが支援する会社で、同社のセダン車であるAirの詳細を正式発表の数週間前から公開している。0.21という抵抗係数や最新運転支援システムを支える 一連のハードウェア(未訳記事)、会社の販売戦略(未訳記事)などを次々と発表してきた。

今回の発表で注目されるのは、517マイルという数字が過去数年で大きく伸びた結果であることだ。Lucidは2017年にAirのアルファプロトタイプを発表した時、400マイル以上の航続距離を約束した。Lucid MotorsのCEO兼CTOであるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は、同社は数々の技術的ブレークスルーを達成することで、バッテリー容量を減らしながら推定EPA517マイルを達成したと語った。

正式なEPA航続距離が550マイル以上になる可能性もある、とローリンソン氏は最近の本誌インタビューで語っている。

測定方法

517マイルという数値は、EPAのMulticycle Test Procedureと呼ばれる標準調整係数を用いた手順で決定された。テストでは、1回の充電で調整前航続距離738マイルを記録した。他の電気自動車と同様、これを標準調整係数である0.7を使って調整する(738 x 0.7 = 516.6)。

Tesla車の調整係数は0.75であり、これには同社の高度な空気力学や暖房、換気、空調システムなどが加味されている。ローリンソン氏は、ひと度、EPAが同社のHVACシステムや空気力学のデータを受け取れば、高い標準調整係数を与えられると信じている。もしEPAがLucidのテストを承認し、0.75の調整係数を適用すれば、Airの航続距離は553.5マイルまで伸びる可能性がある。

ここまでの道のり

Lucid Motorsは2007年に現在とは異なる名前とミッションをもって設立された。当時の社名はAtievaで、電気自動車用バッテリー技術の開発に焦点を合わせていた。その後電気自動車の製造へと切り替え、2016年に社名を変更した。

しかしAtievaも消えてはいない。現在はLucidの一部門として、2018年以来フォーミュラEレースに出場するすべてのレーシングカーにバッテリーパックを供給している。Atievaは2022年までバッテリーパックを提供する契約をフォーミュラEと結んでいる。同社はこの2年間でフォーミュラEレースから多くのことを学び、その知識をLucid Airに反映させたとローリンソン氏は語った。

ローリンソン氏はバッテリーセルの化学構造について詳細を語らなかったが、バッテリーセルのサプライヤーであるLG Chem(LG化学)と化学組成を共同開発したことは明かした。

Lucidのバッテリー技術は今回の航続距離を達成するための重要な要素だ。しかしそれだけではない、とローリンソン氏は強調した。

「私のやりたいことは、効率による航続距離の向上」だと同氏はいう。「誰もがバッテリー技術がすべてだといっているようだが、それは違う。バッテリー技術は一部分にすぎない」

ローリンソン氏は、本当に大切なのは最小限のバッテリーで最大の航続距離を実現することだという。バッテリー効率を上げることで、Lucidは車の重量とコストを下げることができる。現在同社は、Lucid Air でkWh当たり4マイル以上を達成している。ローリンソン氏の目標はkWh当たり5マイルだ。

画像クレジット:Screenshot/Lucid Motors

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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