非ネットの口コミで伸びる「ネイルブック」が1億円調達、店舗送客で収益化へ


2011年4月に開始したネイル写真投稿サービス「ネイルブック」が、ノンプロモーションながら伸びている。ネイルブックはウェブ版とスマホアプリがあり、投稿されたネイル写真は累計70万枚、アプリは100万ダウンロードを突破した。興味深いのは、その伸び方だ。ネットだけではなく、リアルな店舗の口コミで広がっているのだという。

ネイルブックを運営するスピカの國府田勲社長によれば、こういうことらしい。「ユーザーがネイルブックの写真をネイルサロンで見せるんです。そうするとネイリストが『このアプリなんですか?』ということになり、そこからネイルブックを知っていただいてダウンロードにつながっています」。

月間アクティブユーザー数は、前年比倍増となる60万人(ウェブとアプリ含む)。このうち、ネイリストの割合は数%程度。その一方、毎日1300枚以上投稿されるというネイル写真の6割以上は、ネイリストが投稿したものだ。プロによる高いクオリティの写真が多く集まり、それを見に来る一般女性が増える好循環が生まれていると、國府田氏は説明する。

ネイブルック上では、気に入ったネイル写真に「かわいい」ボタンを押せるようになっていて、「かわいい」獲得数順で人気のネイルをランキング化。ネイリストの写真には店舗情報が紐付いていて、特に個人が経営するプライベートサロンの集客手段として活用されているという。また、現在は「ネイル」でGoogle検索すると、ネイルブックが最上位に表示されることから、検索経由での送客も一定数あるのだとか。ネイルブックに店舗情報を登録する「公式サロン」は1300店舗に上り、そのうちの9割は個人が経営するプライベートサロンだ。

2月26日には、B Dash Venturesとグリーベンチャーズが運営するファンドを引受先として、総額1億円の資金調達を実施。今後は、ネイルブック上から直接ネイルサロンを予約するシステムを構築するなど、O2Oの実現に向けた体制強化を図る。現時点でのマネタイズはアドネットワークのバナーを貼っている程度だが、将来的には送客による店舗課金もにらんでいる。

ネイルブックはもともと、ゲーミフィケーションプラットフォームなどを手がける「ゆめみ」の新規事業として2011年4月にスタート。スピカは、ネイルブックの事業を担当するチームが、ゆめみをスピンアウトするかたちで設立した。2014年5月には、インキュベイトファンド、ソラシード・スタートアップスを引受先として、総額5000万円の資金調達を実施していて、今回が2度目の資金調達となる。


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TechCrunch Japan

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