トロントを拠点として14年の歴史を持つWattpad(ワットパッド)は、VCの支援を受けたソーシャルストーリープラットフォームで、さまざまな分野に進出している。そのWattpadがこのたび韓国のコングロマリットであるNAVER(ネイバー)に6億ドル(約622億6000万円)の現金と株式による取引で、買収されようとしている。
NAVERは、少なくともWattpadの事業の一部を、2004年に立ち上げて2014年に米国に進出した出版プラットフォームWebtoon(ウェブトゥーン)に組み込むことを計画している。Webtoonはユーザーが作成した何千本ものマンガを掲載するプラットフォームで読者の数も多い。NAVERによれば、Webtoonは2020年8月の時点で、月平均6700万人以上のユーザーを数えている。
普通に眺めれば、この取引には意味があるように見える。韓国のPulse News(パルス・ニュース)によれば、そのウェブ漫画のなかには、より広い地域の読者を獲得し、映画にも進出しているものもあるという(記事の最後に挙げたのは「The Secret of Angel』という人気シリーズの予告編だ)。
同様に、もともと電子書籍アプリとしてスタートしたWattpadは、ユーザーがオリジナルの作品を公開し、毎月9000万人以上が作品を読むために訪れる人気の高いプラットフォームへと進化してきた(実際、先週Vergeに掲載された記事によれば、Wattpadは何年もかけて10億本以上のストーリーを掲載し、ユーザーは延べで月に220億分かけて、それらの物語を読んでいるということだ)。
NetflixやAppleをはじめとして、インドネシアのライドシェア大手のGoJekが2019年に立ち上げたGoPlayのようなプラットフォームまでもが、フレッシュなコンテンツを必要としていることを受けて、Webtoonと同様にWattpadもストリーミングメディアに力を入れてきた。(Wattpad Studiosに加えて、Wattpadは2019年に書籍出版部門を立ち上げた)。
WebtoonのCEOであるJun Koo Kim(キム・ジュンク)氏は、プレスリリースの中で、今回の提携は「世界をリードするマルチメディアエンターテインメント企業になるための大きな一歩」であると述べている。
一方、NAVERのSeong-Sook Han(ハン・ソンソク)CEOは、Wattpadの共同創業者であるAllen Lau(アレン・ラウ)氏とIvan Yuen(イワン・ユエン)氏が、買収後も引き続き彼らが築いてきた会社を率いると別のリリースで述べている(NAVERの子会社は東京で開発された人気メッセージングアプリのLINEを運営している)。
今回の買収がWattpadの投資家にとって良い話だったのかどうかについてだが、まあまあであったように思える(それぞれの投資条件を知らなければ、しっかり見定めることは難しいが)。
Wattpaidは長年にわたってアジア、米国、カナダの投資家たちから1億1780万ドル(約122億2000万円)を調達してきたが、直近のラウンドではTencent Holdings、BDC、Globe TelecomのKickstart Ventures、Peterson Group、Canso、Raine Venturesから5100万ドル(約52億9000万円)を調達した。
Pitchbookによれば、2018年に発表されたその最後の取引によって、同社の事後評価額は3億9800万ドル(約412億9000万円)となった。
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画像クレジット:Wattpad
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(翻訳:sako)