今週行われたTechCrunch Disrupt NYのHardware Alleyに登場したConsumerPhysics社のSCiOは、左図のようなハンドヘルドの“フードスキャナ”だ。このデバイスはポケットサイズのスペクトロメータ(分光計)で、物(とくに食品)に光を当ててその光の反射光の波長から、それが何であるかを判定する。現在市販のスペクトロメータに比べて、小さくて安いことが最大の特長だ。
したがって消費者が食品の含有カロリーを知ったり、薬の真偽を判定するためにも気軽に買える。
デバイスを目的物に向けてボタンを押すと、近赤外線光がその物を照らす。デバイスはBluetoothでスマートフォンのアプリに接続されていて、そのアプリはクラウド上のデータベースを調べてその物が何であるかを判定し、結果を返す。
スペクトロメータは前からある技術だから、その機能もよく知られている。しかしSCiOが成し遂げたのは、同社によると、低価格の光学部品と最先端の信号処理アルゴリズムを結びつけて小型化したことだ。開発に3年を要した、という。
小さくするために感度を犠牲にしたのではないか、という否定的な説もある。
Hardware Alleyのデモでは、りんごやトマト、チーズといったありふれた食品が使われたせいか、問題は感じられなかった。信号媒体が光だから、食品がラップされていても大丈夫だ。スペクトロメータの信号をデータベースと照合したアプリは、その食品のカロリーや糖分に関する情報を返す。Kicstarterの資金募集ページでは、果物などの熟度もわかる、と言っているが、それはデモには含まれなかった。
でもDisruptで評判になったせいか、今では目標額20万ドルに対してすでに100万ドルを突破している。
ConsumerPhysicsのCEO Dror Sharon自身も、この成果に驚いている。彼は最初SCiOについて、ハードウェアハッカーや技術マニアの人たちにしかアッピールしないだろう、と考えていた。でもKickstarterでのこの人気ぶりは、SF映画に出てくる奇妙なガジェットのようなこの製品が、ビジネスの軌道に乗りそうなことを示している。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))