インドの物流サービス企業であるDelhivery(デリバリー)は、今後2四半期以内に予定されているIPOを前に、さらに1人の著名な投資家から支援を取り付けた。Lee Fixel(リー・フィクセル)氏のAddition(アディション)だ。
グルガオンに本社を置くDelhiveryは、Additionが同社に7640万ドル(約84億円)の出資を行ったことを規制当局に届け出た。市場情報会社のTofler(トフラー)が明らかにしたこの申請書によると、今回の新たな投資はシリーズIラウンドの一部であるという。Delhiveryはこれまでに、Additionの投資額のみを公開している。
10年前に設立されたこのスタートアップ企業は当初、フードデリバリー会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じて、物流市場における需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。
今回の新たな投資は、Delhiveryが2億7700万ドル(約304億6000万円)の資金調達を完了させ、またそれとは別にFedEx(フェデックス)の子会社が1億ドル(約110億ドル)を同社に投資したことが発表されてから、数カ月後に行われたものだ。Delhiveryは2021年前半に、今後6~9カ月以内にIPO申請を行うことを検討していると述べていた。
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Delhiveryはインド最大の物流企業の1つである。同社のプラットフォームは荷主、エージェント、そして陸路輸送ソリューションを提供するトラック事業者を結びつける。Delhiveryによれば、そのプラットフォームはブローカーの役割を軽減し、(Delhiveryにとって最も人気のある輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用して、24時間体制のオペレーションを可能にするという。
このようなデジタル化は、インドの国家経済を長年にわたって停滞させてきた物流業界の非効率性に対処するために非常に重要である。インドでは、需要と供給の計画と予測が不十分であることから、輸送コスト、盗難、損害、遅延が増加していると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストがインドの物流市場について2021年8月発表したレポートの中で指摘している。
Delhiveryの公式ウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しているとのこと。配送の最後の一歩を受け持つ配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられており、時間を節約しながら1日に何度も配達を行うことができる。
インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは2021年前半に述べていた。このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約44億円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。
インドのスタートアップエコシステムで有名なリー・フィクセル氏は、インドに可能性を見出した最初の国際的投資パートナーの1人だ。同氏が過去10年の間にTiger Global(タイガー・グローバル)を通じて行ったFlipkart(フリップカート)への投資は、この世界第2位のインターネット市場におけるスタートアップエコシステムの成長スピードを加速させた。
それに加えて、フィクセル氏が2020年設立したベンチャー投資会社のAdditionは、すでにインドに注目し始めており、ソーシャル・ネットワークのPublic(パブリック)やネオバンクのJupiter(ジュピター)にも出資している。
フィクセル氏はまた、個人的にもインドのスタートアップ企業に出資を続けている。同氏は現在、ベンガルールを拠点とするコーヒーチェーンのThird Wave(サード・ウェーブ)を支援するための交渉を行っていると、関係者2人が語っている。
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画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)