賃貸情報は4月22日、グローバル・ブレインが運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を割当先とする1億円の第三者割当増資を実施した。
賃貸情報は2012年9月の設立。賃貸情報代表取締役の金氏一真氏は、司法書士からジャスダック上場のアスコットに入社し、不動産ビジネスを手がけていた人物。取締役副社長の遠藤彰二氏はリブセンスの創業メンバーで、祝い金(キャッシュバック)付きアルバイト情報サイト「ジョブセンス」の事業部長などを務めた後に独立。その後ブルームの共同創業者となり「ドリパス」をヤフーに売却するなどしている。
同社が2013年11月から展開している賃貸情報サイト「キャッシュバック賃貸」は、賃貸情報の掲載料を無料にし、成約時に情報掲載者に課金するという「成約課金」型のサービスだ。借り主であるユーザーは、成約時にお祝い金として1万円以上のキャッシュバックを受けられる。このキャッシュバックの仕組みを導入することで、運営側で成約情報を把握できるようになっている。またキャッシュバック金額は掲載者が設定することが可能で、金額が大きい物件情報ほど検索結果の上位に表示するようにしている。
掲載物件数は現在98万5000件。今後は仲介会社のシステムとのつなぎ込みを完了すれば常時200万件程度まで物件情報は増える見込み。
”リブセンス仕込み”のビジネスモデル
賃貸情報サイトとといえば、ネクストの「HOME’S」、リクルート住まいカンパニーの「SUUMO」などが大手だが、それぞれ課金の方式が違う。SUUMOでは、掲載自体に課金する「掲載課金」、HOME’Sも以前は掲載課金だったが、現在は掲載自体は無料だが問い合わせがあった場合に課金する「反響課金」という課金モデルを採用している。
掲載課金であれば予算によって掲載できる物件数に限りがあり、その効果を計測することも難しい。そこでHOME’Sが採用したのが反響課金。だが反響課金で掲載数が増えたとしても一部の物件に問い合わせが集中するなどの不都合が起きる。それに対して成約課金は実際に成約した場合にのみ費用がかかるため、もっとも効率がいいという。ただしキャッシュバック金額によって表出順位が変わるため、どういった物件の注目度を上げるかなどは考えないといけないだろう。
「不動産は成功報酬でやっている世界なのに、広告は先払い。先払いの広告を排除するのは、不動産仲介業の悲願」とまで金氏氏は語るが、実際のところ、既存の事業者は相当数の営業マンを抱えていることもあってすぐにビジネスモデルを変更できないこともあり、成約課金にするのは難しいようだ。このあたりはジョブセンスを開始した当時のリブセンスとリクルートの関係にも通じるところがある。
なおこのキャッシュバック賃貸、現在6割のアクセスがモバイルからということもあり、今後はスマートフォン版の開発に注力していくそうだ。