2016年、市民により良いサービスを提供するために行政はいかに変わるのか

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編集部記:この記事の著者、Maury Blackman氏は自治体・政府向けのクラウドベースの市民向けソリューションを提供するAccelaのCEO

2015年、シビックテックへの投資や活動は投資家、アナリスト、アプリケーション開発者を破壊と機会をもたらす新しい成長産業分野としてひきつけた。例えば、アンドリーセン・ホロウィッツはOpenGov18億円を投資し、これに他の投資家が30億円の追加投資で続いた。サファイヤ・ベンチャーズはSocrataに36億円の投資を行い、JPモルガンの投資部門はAccelaに172億円の投資を行った。

市民が行政サービスの提供手段について厳しくなってきているだけではなく、地元自治体に対してよりオープンな透明性とあらゆる便利さを求める声はますます増え続けている。AmazonFacebookUberのような革新的企業は市民の行政サービスへの期待値を劇的に変え、行政の幹部職員は新しいシビックテックが行政を一変することを期待している。

2016年を迎えるにあたり、行政がサービスを刷新し、市民とのコミュニケーションをより効果的にし、市民の共同参画プロセスを容易にすることに影響する4つの大きな流れを見ていきたいと思う。

行政は受け身の体制からより能動的・予測的にシフトする

規模を問わず全ての行政は何年にもわたって、場合によっては何十年にもわたってIT設備近代化に投資してきた。調査会社IDCによれば連邦政府と地元自治体のシビックテックに対するIT予算の合計は2015年末までに7700億円にものぼるとされている。確定値はまだ出ていないものの、それに近いと言うことが出来るだろう。2015年はクラウド技術採用への行政の意識変化が劇的であることを実際に見ることができた。クラウド技術は単に予算を節約するだけではなく、行政がより速くより柔軟に動けることを可能にするのだ。

2016年も、ITの象牙の塔にこもるような伝統的な態度を行政職員があらため、クラウド技術をもとにしたデジタル戦略を採用し、効率的で効果的な行政への変化を引き続き見ることになるだろう。

IT設備とシビックテックに対する投資がスピードダウンする兆候は見えないし、より上向きな予測は2016年も続き、市民、観光客、ビジネスを行政サービスと結びつける市民向けのソフトウェアやサービスは成長を続けるだろう。能動的な行政は市民のライフイベントに対して遅れることなく、先行的に対応することが出来る。このことは行政以外の第三者からのデータを採用したり、既存データを元にして先回りするサービスを提供することにより、より一層促進することが可能だ。

オープンデータムーブメントは成熟し、行政の透明性は向上する

市民との接点を広げ市民を待つのではなく、より起業家的な精神を持つ行政職員が増えていくだろう。オンライン調査を行い、ソーシャルメディアを活用、タウンミーティングの様子はストリーミング放送でインターネット上に公開、関連する資料や議事録を市のホームページに公開することで、常に行政は市民からの信頼と透明性を向上させ、市民側の意識を最新に保ち、共同参画をうながす。

例としてYelpをあげよう。Yelpはレストランを探し、提供される食事についての経験を共有することができるを助ける素晴らしいサービスを提供している。行政もまた、事業者が衛生基準にあった食材の取り扱いを行っているかを調べるためにレストランを訪問している。最近では、多くの保健部門がYelpや他の類似業者にその情報を提供し、市民が簡単にその情報を確認できるようになっている。

現在、わずか11%のアメリカ人しか行政は効果的にデータを公開していると思っていない。しかし33%の行政は、全体もしくは最低でも1部門がデータ公開のオープンデータ指針を持っている。今の時代には市民生活に関する全てのデータは公開され取得できるようにすべきと市民は感じており、情報に精通している市民は行政がオープンデータの入口を開放し、市民を中に入れるべきだと要求しているのだ。

行政はテクノロジーを採用し、市民向けの新しい価値を見つけだす

2016来年をとおして、行政はテクノロジーの可能性を探り始めるだけではなく、ビジネスと日常生活の両方に大きな影響を与える”コネクテッド・ガバメント”(つながる行政)への歩みを進めることになるだろう。

革新的で持続可能なスマートシティー構築のためのに向けての競争で、地方自治体は2018年までにIoT(モノのインターネット)分野のビジネスを開発、管理し実現するために総支出の25%以上を割こうとしている。いくつかの地方都市のスマートシティー計画では、ビデオカメラや駐車センサー、大気品質モニターなどから得られる膨大なデータを処理し、自治体が求める住民のより良い日常生活、良好な環境、地域の治安向上を達成するために、それらを活用する可能性の追求を目的としている。

200兆円ある建設業界は都市計画課や建設課がより情報開示を進めることを求めている。スピードが速く競争があり、細かい部分の協働に依存する世界だ。建築家や技師、業者らを自治体や行政へテクノロジーでつなぐことが出来れば、それぞれの地域におけるGDPに貢献する機会になるだろう。

調査会社Navigant Researchのアナリストによればこれはテクノロジー業界に巨大な新ビジネスを生み、スマートシティー技術に投資する会社の売上は2014年には1兆700億円だったものが2023年には3兆3000億円にはね上がると予測されている

行政はIoTテクノロジーの潜在力を活用する準備ができている。具体的な問題を解決するのに役立つ何らかの行政サービスを自動化できるのはどこなのか、それを特定するところから、こうした動きは始まるだろう。例えば、街路灯にセンサーを装備しそれをネットワークに接続しておけば、何らかの動きが検出された時だけ最大の明るさを発揮し、その時以外は減光しておくことでエネルギーを節約できる。これにより電気料金を70~80%削減可能だ。

地域化をとおしてシェアリングエコノミーは自治体に浸透していく

個々の自治体単位では実行することが出来ないタイプの行政サービス提供や、品質や効率を向上させる手段として、行政サービスの集約化は国中で発生し始めている。この傾向は引き続き勢いを増すだろう。調査会社PwCによると、このシェアリングエコノミーの潜在価値は2015年までに合計40兆円に達すると見積もられている

協働作業という手段により行政は、従来の伝統あるITの利用法から離れて、共通のプラットフォーム( たいていは仮想化されクラウド的なもの)の上で再利用可能なサービスをますます活用していけるようになるだろう。これにより開発リソースやプラットフォーム、ITサポートをより効率的に利用できるようになるだろう。

このような新しいサービスの例をMuniRentと呼ばれるサービスに見ることが出来る。自治体間でお互いが所有する重機などの機器を共用することにより、UberやLyftAirbnbなどが消費者に提供しているのと同じような費用の合理化と手軽さを潜在的に実現するのだ。

これに加え、複数の州政府は自治体自身でシェアリングエコノミーを採用し始めている。オレゴン州では自主的に州全体に広がるePermitting (電子建築許可申請)システムを単一プラットフォーム上に構築し、現在これは20以上の行政区で共用されている。

今年はまだ始まったばかりだが、ひとつだけ確かなことがある。2016年はシビックテックにとって飛躍の年となり、行政と市民の両方にとって素晴らしく有益なことになるだろう。紙ベースの処理を行い、窓口の行列に並んでいた時代にイノベーションと効率性が訪れるのだ。来年またここでふりかえり、何を成し遂げたかを見ることにしよう。

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(翻訳:Shigeomi Shibata / Code for Ibaraki)

投稿者:

TechCrunch Japan

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