音楽産業に関する新しい報告書によると、ストリーミングサービスとその会費収入が音楽ビジネスを救った。2017年までの3年連続で業界の売上が伸びたのも、デジタルミュージックの消費のおかげだ。録音音楽の2017年のグローバルの売上は174億ドルで、2016年は160億ドルだったから8%の増だ。これには増加率39%で売上74億ドル(上記174億ドルの43%)のストリーミングの貢献が大きい。
ダウンロードや物理的アルバムなど古い形は7億8300万ドル減ったが、上記の成長ぶりはこれを補ってあまりある。
アメリカだけに限れば、昨年のデジタルの売上は15%増の65億ドルで、前年の56億5000万ドルから増加した。この売上の大半がストリーミングの会費収入で、2016年の25億ドルから2017年の40億ドルへ63%増加した。〔端数を含めると63%、という意味だろう。〕
アメリカは今や、ストリーミングの最大の市場であり、全世界の録音音楽の売上の40%を占める。アメリカの音楽サービスはイノベーションと多様化が進んでいるので、この報告書は2025年の有料会員数が今の4910万の倍近い9010万人になる、と予測している。
この報告書は、メディアとテクノロジーの分析企業MIDiA Researchと、デジタルメディアの業界団体DiMAの共作だ。
デジタル音楽はその売上額のほかに、音楽消費の形を変えたことの貢献度も大きい。
たとえばストリーミングサービスは利用が簡単なので、海賊行為は2013年に比べて50%以上減少した。また多くの人が、音楽の新しいジャンルやアーチストたちを、積極的に発見するようになった、と同報告書は言っている。挙げられている顕著な例は、Chance the Rapperが初めてストリーミングだけでグラミー賞を取り、YouTube上の音楽のトップテンの内6つがスペイン語であることだ。“Despacito”のようなヒット曲は、97日で視聴回数10億に達した。
ストリーミングによって生まれたもうひとつの大きな変化は、プレイリストの強大化だ。アンケートによれば、今や消費者の54%が、アルバムではなくプレイリストで音楽を聴いている。
2016年に比べて14億ドル売上が伸びたことによって、2017年のグローバルの総売上174億ドルは、2008年の177億ドルに接近した。過去10年間に見られた減少傾向が止まり、業界は再び成長モードに入ったようだ。