2020年のお勧めダークファンタジーはNetflixの「ウィッチャー」だ

Netflixの新しいオリジナル・シリーズ「ウィッチャー」は一見した印象ではHBO製作の「ゲーム・オブ・スローンズ」に対する回答に見える。ハリウッドのトップスター(主演のヘンリー・カヴィルはDCコミックの「スーパーマン」、ミッション:インポッシブル/フォールアウトのウォーカー)で、優秀な特殊効果や激しい戦いに加えてヌードの美女も毎回登場する。

ただある意味「ウィッチャー」は「ゲーム・オブ・スローンズ」のような善悪定かならなぬ陰影ある世界を構築するというより、もっとストレートな ファンタジードラマだ。例えば、(米国のTVドラマである)「ジーナ」(Xena: Warrior Princess)のような方向に戻ろうとしているように思える。シーズン1には8エピソードが含まれており、 ストーリーは十分に複雑で脚本は巧みに書かれている。ヘンリー・カヴィル演じる「リヴィアのゲラルト」は超能力を持った流浪の戦士でモンスターと邪悪な人間を倒していく。

ポーランドのファンタジー作家であるアンドレイ・サプコフスキーの小説日本語訳)が原作で、ゲーム化されて大人気となった後、実写化された。ゲームとは独立の作品だが、小説もゲームも熟知しているライターのDarrell Etherington(ダレル・エサリントン)によればゲーム版の影響は大きいという。小説ではゲラルトは「容貌は醜い」という設定だが、もちろんゲームとドラマではそうではない。

主人公のゲラルトは何らかの霊薬で超能力を与えられたらしい(詳しいことは我々も理解できていない)が、基本的な魔法も使える。トム・クルーズの演じる「ジャック・リーチャー」シリーズの主人公に似た悪孤独な戦士だ。「小さい悪、巨悪、並みの悪、すべて許さない」というのが信念だ。カヴィルの説明によれば「どこに行っても嫌われる。冷酷な男に見えるが実は結構いい奴なんだ」という。

記事末のポッドキャストでエサリントンと話し合ったのだが、当初の重厚さの印象とは裏腹に、実際に飛び込んでみるとコンテンツは新鮮で、むしろ軽快でストレート、ユーモラスなところさえある。ときどき(あるいは意図的に)B級映画的ご都合主義に思える部分もある。これはいかにも筋肉隆々たるマッチョなヒーローに対するセルフパロディかもしれない。セリフ、プロットには矛盾が散見するし、話を進めるために急ぎすぎの部分もあるがこうした軽いタッチがあるためあまり気にならない。

ビジュアルな印象はジョージ・R.・マーティン.の世界観をそのまま移植したかと見えるが、「ウィッチャー」の独自世界構築の努力は称賛すべきでもので、エピソードごとに数多くの相互に絡み合った国、人物が現れる。もっとエサリントンも私もエピソードごとに登場する固有名詞を全部覚えるのは無理だった。しかし登場するキャラクターは脚本家の単なる思いつきではなく、世界各地に残る神話、伝説、フォークロアに基づいており、奥行きが感じられた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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