TechCrunch Japanでは1カ月ほど前、“野菜版オフィスグリコ”とも言えるようなサービス「OFFICE DE YASAI」を紹介したが、オフィスで商品を置き売りするサービスはほかにもある。「おかん」となんともインパクトのある社名のスタートアップが提供する「オフィスおかん」は、総菜をオフィスで置き売りするというサービスだ。もともと個人向けのEC(置き売りではなく月1回商品を配送していた)としてサービスを開始したが、現在はまず法人向けに注力しているとのこと。
同社は2012年12月の設立。福井県の総菜屋チェーンが持つ技術を採用することで、冷蔵庫で約1カ月保存可能な総菜を提供する。オフィスには専用の冷蔵庫と使い捨ての食器も提供するので、電子レンジさえあれば暖かい総菜を食べることができる。これまでサービス開始から2カ月で、ガイアックスやコイニーをはじめとした10社にサービスを導入している。各社の従業員数は7人から300人程度。従業員数200人の規模で、1回200商品を納品しても1週間で消費されるというケースもあるという。なお現在は、前述の総菜チェーンのほか、各地から送付される商品を一度おかんでとりまとめて、徒歩や公共交通を利用して各社に届けているそうだ。
約1カ月の保存が可能というところで商品の在庫ロスを低減できるだけでなく(正直ここは野菜では難しいだろう)、導入企業の男女比や年齢、商品の消費傾向といったデータを分析することで消費予測を行い、最適な商品数を届けていくという。また総菜屋側では、本業のアイドルタイムにオフィスおかん用の商品を製造することで、効率化を図っているという。今後は総菜屋の持つ保存技術を他社にも提供することで、商品ラインアップも拡充する予定だという。
導入の初期費用は無料で、商品は1個100円、もしくは200円となっている。企業に対して従業員1人あたり200円の月額基本料金と、商品1個あたり220円を徴収する。「あくまで社員食堂など福利厚生のサービスとして利用して欲しいので、企業に料金の一部を負担してもらい、従業員が安価に商品を購入できるようにしている。またこの仕組みによって料金未回収のリスクを下げている」(おかん代表取締役CEOの沢木恵太氏)
そんなおかんだが、サイバーエージェント・ベンチャーズとオイシックスから資金調達を実施したことを明らかにしている。金額は非公開だが、数千万円程度になるという。同社では今回の調達をもとに、サービス開発やアライアンス担当などの人材を強化。「この1年でサービスの体制を整え、5年後には製造から配送、データ解析までの仕組みを作る」(沢木氏)としている。今年度は企業数100社、6000人程度へのリーチを目指す。