4大陸18カ国に展開しているAI農業プラットフォームの南アフリカ発Aeroboticsが17.6億円調達

予想される人口増加と食糧需要に応えるために世界中で農業が背伸びをし、地球温暖化によって食糧安全保障がより差し迫った課題となっている中、南アフリカ発のスタートアップが人工知能を使い農場や樹木、果物の管理をすることで農家を支援している。

世界の農業にインテリジェントなツールを提供する南アフリカのスタートアップ、Aeroboticsは応募超過となったシリーズBラウンドで1700万ドル(約17億6000万円)を調達した。

Aerobotics社によると、南アフリカの消費者向けインターネット大手Naspersの投資部門であるNaspers Foundryがこのラウンドを主導し、560万ドル(約5億8000万円)を出資したという。他にはCathay AfricInvest Innovation、オランダのFMO: Entrepreneurial Development BankPlatform Investment Partnersが参加した。

James Paterson(ジェームズ・パターソン)氏とBenji Meltzer(ベンジ・メルツァー)氏によって2014年に設立されたAeroboticsは現在、果樹農家のためのツールの構築に注力している。AI、ドローン、その他のロボットを使用した同社の技術は、樹木の病気の特定、害虫や病気の追跡、より良い収量管理のための分析など、これらの作物の健康状態の追跡と判定を支援している。

同社はその技術を発展させ、シーズンの早い段階で柑橘類の生産者から樹木と果実の両方の画像を収集・処理することで、農家に独立した信頼性の高い収量予測と収穫スケジュールを提供している。これにより農家は在庫を準備し、需要を予測し、顧客が最高の品質の農作物を手に入れることができるようになる。

Aeroboticsはここ数年で記録的な成長を遂げている。1つには、8100万本の樹木と100万個以上の柑橘類の果実を処理した実績から、世界最大の樹木と柑橘類の独自データセットを持っていると主張している。

設立して7年の同社は、南アフリカのケープタウンに拠点を置いている。アフリカ大陸の新興企業の多くが、主に国内での課題の特定と解決に注目している時期に、Aeroboticsは海外でもそのサービスに多くの牽引力を見出している。同社はアフリカと同様に世界の主要な農業経済の中心地である米国、オーストラリア、ポルトガルにオフィスを構えており、アフリカ・南北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアの4大陸にわたり18カ国で事業を展開している。

画像クレジット: Aerobotics

その中でも米国が同社の主要市場であり、Aeroboticsによると同国では2つの仮特許を申請中であり、1つは樹齢を推定するシステムと方法、もう1つは収量を予測するシステムと方法だという。

同社は今回のシリーズB投資を利用して、米国とその他の市場向けに、より多くの技術と製品を開発し続ける計画だと述べている。

「当社はオートメーションを最適化し、インプットを最小限に抑え、生産を最大化するためのインテリジェントなツールを提供することに尽力しています。農産物業界のリーダーたちとのさらなる共同開発を楽しみにしています」とCEOであるパターソン氏は声明の中で述べている。

何世紀か前にはテクノロジーのフロンティアとして謳われていた農産物業界は、長い間その面で停滞していた。しかし気候に適した農業をサポートし、農家を支援するAeroboticsのようなアグリテック企業は、業界を過去の栄光に戻そうと躍起になっている。投資家は業界に注目しており、過去5年間、息を呑むような勢いで投資が行われてきた。

Aeroboticsの場合、2017年9月にシードラウンドの一環として4Di CapitalとSavannah Fundから60万ドル(約6200万円)を調達した。その後、2019年2月にはNedbank CapitalとPaper Plane Venturesが主導するシリーズAラウンドでさらに400万ドル(約4億2000万円)を調達した。

今回のシリーズBラウンドを主導したNaspers Foundryは、2019年にNaspersが南アフリカのテック系スタートアップのための14億ランド(104億円弱)のファンドとして立ち上げた。

Naspers South AfricaのCEOであるPhuthi Mahanyele-Dabengwa(プーティ・マハニエレ-ダベンガ)氏は、今回の投資についてこう述べている。「南アフリカでは食料安全保障が最も重要であり、Aeroboticsのプラットフォームは、それを維持するための支援に向けて積極的に貢献しています。この種の技術革新は社会的課題を解決するものであり、まさにNaspers Foundryが支援したいと考えているタイプのアーリーステージ企業です」。

Aeroboticsの他にも、Naspers FoundryはオンラインクリーニングサービスSweepSouthやフードサービスプラットフォームFood Supply Networkにも投資している。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Aerobotics農業南アフリカ資金調達

画像クレジット:Aerobotics

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(翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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