84万人以上の専門家と企業をつなぐプラットフォームLynkが25億円を調達

Lynkの共同創業者でCEOのペギー・チョイ氏

利用者を広範な分野の専門家84万人のとつなぐ「サービスとしての知識」プラットフォームLynk(リンク)は、米国時間1月27日、2400万ドル(約25億円)を調達したと発表した。この投資を主導したのはBrewer Lane VenturesとMassMutual Ventures。そこにAlibaba Entrepreneurs Fundも参加している。同社はそのプラットフォームで、機械学習アルゴリズムを使用して、投資会社、Fortune 100に選ばれた企業、政府機関なども含むクライアントと専門家とのマッチングを行い、従来のコンサルタント業界や検索エンジンでは出会えない専門家を利用者に紹介してくれる。

「核となっているのは、この検索が、どんな仕事をしているかに加えて、何を知っているかに基づいて人の検索を行うという点です」と、共同創設者で最高経営責任者のPeggy Choi(ペギー・チョイ)氏はTechCrunchに語った。

2005年創設のLynkは、現在までにトータルで3000万ドル(約31億円)を調達した。従業員は香港、ニューヨーク、シンガポール、ロンドン、ムンバイ、上海、ハイデラバード、トロント、マニラの8つの都市の事業所におよそ200人を擁している。今回調達した資金は、製品のローンチと、この12カ月間で需要の高まりを見せている北米と中国への進出に使われる。

Lynkの主力製品であるLynk Answers(リンク・アンサーズ)は、現在およそ200の法人顧客が利用し、地理的な事業拡大、プロダクトマーケットフィット、適正評価といったプロジェクトの調査に役立てている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で出張ができなくなった多くの企業が、現地調査をこのプラットフォームに頼っている。たとえば投資家は、Lynkのアドバイザーの話を聞き、新技術や特定市場のダイナミクスの理解を深めることができる。ここ数年は、いくつもの企業がLynkを利用して、サプライチェーンに影響を与える出来事などの地政学的変化に迅速に対応してきた。出荷が税関で止められた企業や、東南アジアに工場を新設して製造を多様化したい企業が、サプライチェーンの専門家に相談するということもある。

Lynkを立ち上げる前、チョイ氏はロンドンのSilver Lake(シルバーレイク)やサンフランシスコのTPGなどの金融企業で働いていた。「毎日、企業幹部やさまざまな分野の専門家と数多く対話して、新しい産業や企業のことを、短時間で学ばなければなりません。その経験から、適切な人の話を聞けるかどうかが大きな差を生むと悟ったのです」と彼女は投資家時代を振り返る。

それとは対照的に、両親が画廊を立ち上げようとした際には困惑した。「毎日ビジネスに関する質問をしてくるんです。私が答えを知っていると思い込んで聞いてくることもありました。しかし私にもわかりません。両親にとって私は適切な相談相手ではなかったのです。そこで、適切な人物を探すことにしました」と彼女は話す。「そのギャップを実感して、データを使って、何を知っているかで人を分類してはどうだろうと思いつきました」。

法人顧客のサブスクリプション登録料を収入源とするLynkは、従来型のコンサルティングとQuora(クオラ)や中国の知乎(ジーフー)のような一般消費者向けのQ&Aプラットフォームとのギャップを埋めている。同プラットフォームは、メールチェーンに代わるSaaS機能も備えている。専門家との対話を後で利用者が整理、検索、参照ができるようにする協働ツールや自動筆記機能などだ。

「ナレッジパートナー」と同プラットフォームが呼ぶLynkの専門家には、「最高」クラスの企業幹部、独立系コンサルタント、弁護士、エンジニア、金融アナリスト、科学者などが揃っている。彼らは、デジタルマーケティング、ナレッジパートナーの紹介プログラム、団体、協会、機構といった提携先などを含むいくつものチャンネルを通して集められている。Lynkは、審査の後に彼らをプラットフォームに加え、彼らはそこで自身のレートを設定する。

利用者が質問をすると、Lynkの検索エンジンがその分野の専門家や地域などを基準に専門家のリストを提示する。利用者はその候補者にいくつか質問をして、相手が相応しい人物かを確かめる。Lynkは、その会話から抽出したデータを匿名化して、検索技術の洗練や、より正確なマッチングが行えるように役立てている。利用者に選出された専門家の対応には、いろいろなかたちがある。そのほとんどは質問に答える対話形式だが、講演やワークショップの開催、さらには長期的なプロジェクトへの参加に発展することもある。

チョイ氏は、多様性のある専門家の名簿を作りあげることがLynkの最優先事項だと話す。同社の従業員と役員は男女比が同等で、国籍は20カ国以上にわたる。同社は奉仕活動や企業トップの性差の解消を目指すLynk Elite Expert Women(リンク・エリート・エクスパート・ウイメン)などの運動を通じて、コンサルティング初心者も含めた人材を募集し、多様なデータベースを構築したいと考えている。

「Lynk Elite Expert Womenキャンペーンを行っていた間に私たちが学んだのは、これが自身の価値を高める斬新な手段なのだと気づいた人が大勢いたことです」とチョイ氏。「特に、ずっと1つのことに打ち込んできた人たちは、自分の分野に関して人々が何を知りたがっているかを知りたいと考えています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Lynk資金調達

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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