AI搭載IP電話「MiiTel」開発のRevCommがカラダノートと提携、ノウハウを可視化して子育てママとのエンゲージメント強化へ

IP電話を利用した営業支援サービス「MiiTel」(ミーテル)を開発・提供するRevCommと、さまざまな子育て支援サービスを展開しているカラダノートは2月10日、2月1日付けでパートナーシップ契約を締結したことを明らかにした。カラダノートのクライアントである妊娠育児層向け事業会社での架電オペレーションにMiiTelを導入し、生産性向上に取り組む。

RevCommは、2019年にTechCrunch Japanが開催したテクノロジーとスタートアップのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で最優秀賞に輝いた企業。2019年のスタートアップバトルは、過去最多の120社超から選抜された20社がファーストラウンドに登壇、その20社からさらに選抜された6社がファイナルラウンドに進んで最優秀賞をかけて戦ったピッチイベントだ。ちなみに同社は、TechCrunch Tokyo 2019だけでなく、2019年にはさまざまなイベントで賞を獲得し、サービスの知名度や契約者数を向上させてきた。

カラダノートは、提供中のアプリで合計で約55万MAU(月間アクティブユーザー)、新規で毎月3万人以上の接触可能ユーザーを獲得しており、既存ユーザーを含む登録ユーザーに向けて、前述の提携クライアントが電話や訪問などで販促活動を進めていた。しかし、その内容はこれまで共有されてこなかったそうだ。

写真に向かって左から、RevCommで代表取締役を務める會田武史氏、同社広報の藤村侑加氏、カラダノート事業企画室で室長を務める松枝愛子氏、同社代表取締役の佐藤竜也氏

カラダノートの事業企画室で室長を務める松枝愛子氏によると「各社とも独自の営業ノウハウをお持ちですが、すべてのノウハウがカラダノートのユーザー層にマッチするわけではありません。実際に、子育て中や子育て経験のある女性が多い営業部署ではアポ取得率が高く、男性中心の営業部署では低いというケースもありました」と語る。

とはいえ、子育て経験者だけを集めた営業部署は簡単に作れないので、経験者の知見を効率よく共有するために今回のパートナーシップ締結に至ったそうだ。すでに2月からカラダノートのクライアントの電話営業にはMiiTelが導入されており、オペレーターの応対を可視化している。MiiTelで取得・解析したデータはカラダノートにも共有され、子育て支援についてさまざまな知見を持つ同社がクライアントの電話営業の運用を支援していくという。

「提携クライアントからの突然の電話に戸惑うユーザーさんもいることから、当初は各種サポートや電話営業を担当する部署を社内に新設するという考えもありました。しかし、さまざまな営業ノウハウを持っているクライアント各社の営業部署にMiiTelを導入し、そのデータを可視化・共有したほうがより効率的だという結論に至りました。子育て経験がない営業担当者が理解することが難しい子育て家庭の環境や悩みなどを、カラダノート側でサポートする体制を整えていきます」と松枝氏。営業電話は押し売りと感じるユーザーも多いが、「カラダノートでは保険商品をいきなり売り込むのではなく、悩みを解き明かすヒアリングスキルをMiiTelで可視化・向上させ、まずは子育てでさまざまな不安を抱え、孤独になりがちなユーザーとのエンゲージメント強化を図りたい」と続ける。

RevCommが開発・提供しているMiiTelとは、音声解析AIを搭載したIP電話で、会話の速度や声の高さ、抑揚の強さなどの解析のほか、音声認識によって通話内容をテキスト化し、キーワードで分類できるのが特徴。営業電話を終えたあと、解析されたデータをオペレーター自身が参照することで、セルフコーチングに役立つほか、これまでブラックボックス状態だった各オペレーターの営業手法などを手軽に共有できるようになる。すでに契約者は3000ユーザーを超えており、主にBtoBインサイドセールスで活用されているという。業界としては、保険、不動産などが多いそうだ。

RevCommで代表取締役を務める會田武史氏は「MiiTelの導入で働く女性を支援したい」と語る。「通話の解析はもちろんですが、いつ誰が誰と何を話したかをMiiTelがすべて記録してくれるので、在宅勤務でもあってもオフィスと同じように仕事ができる」ことを強調。會田氏は以前から「女性が活躍できる場所を作りたい」という想いがあり、今回のカラダノートとの提携により、まさに同氏の想いが現実になった。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。