Amazon、P. K. ディックの傑作SF『高い城の男』のテレビシリーズ化を正式決定

Amazonがやってくれた! Amazonはフィリップ・K. ディックの傑作SF『高い城の男』を原作にしたテレビドラマを1シーズン製作することにゴーサインを出した。

われわれSFファンに朗報なのはもちろん、Amazonが力を入れているオリジナル・テレビドラマ・シリーズの将来にとってもグッド・ニュースだ。Amazonがこれまで製作したパイロット番組の中で『高い城の男』は断トツに視聴された作品だった。作品の完成度は非常に高かかったが、それだけにAmazonにとっても製作コストも撮影の技術的困難さもトップだったに違いない。

Amazonは同時に 最近のパイロット番組から4作をシリーズ化することとした。イギリスのテレビ番組をベースにしたMad Dogs、ドキュメンタリーのThe New Yorker Presents、それに子供向け番組が2本、Just Add Magiche Stinky & Dirty Showはいずれも優れた作品だと思うが、正直に言えば『高い城の男』はこれまでAmazonが製作した中で文句なしに最高傑作だと思う。

お気づきのとおり、私はだいぶバイアスがある。私が当初から『高い城の男』を激賞し、あちこちでそのことを告げてまわっていたことは同僚がよく知っている。ディックの原作は第二次大戦で枢軸側が連合国側に勝利し、その結果アメリカが日本とナチ・ドイツに分割占領されたパラレルワールドを異様なリアリティーで描いている。

しかしディックの原作を読んでいなくともテレビシリーズはよく出来ており、十分に楽しめる。パイロット版を見るかぎり、出演者は役柄に合っており演技も的確だった。シリーズを通してこの高い水準が維持されることを期待したい。とにかく私は良いSFテレビドラマには目がないのだ。

〔日本版〕主役の一人、サンフランシスコ日本大使館の書記官、田上信輔を東京生まれのベテラン日系人俳優ケイリー・ヒロユキ・タガワが演じる。Kindle版、高い城の男(早川書房) 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+