第2本社の一つをクイーンズ区に建設するという計画が地元の攻撃にあって挫折する数カ月前に、Amazonは8000平方メートル近い面積を持つ巨大フルフィルメントセンターをスタテン島にオープンさせていた。昨年秋に完成したJFK8と呼ばれるロジスティクス施設の建設には1億ドルが投じられ、最終的には2250人を雇用することになる。
我々は2月にJFK8を視察するチャンスがあったが、空気にはまだ新品の匂いが漂っていた。すべては真新しくピカピカで、マシンの静かなうなり声が聞こえた。これは年中無休、24時間稼働を前提とした設備で、Amazonが目指す迅速な商品宅配を実現するためのデザインだった。
JFK8は21世紀の資本主義を象徴するある種の大聖堂だ。Amazonの政治的意味を考えるなら、JFK8のベルトコンベアのハイウェイにパッケージが迅速に積み込まれ翌日までに消費者の手元に届くように発送されていく光景を忘れてはならないだろう。
このスペースはまた人間とロボットが文字通り手を取り合って働く未来の工場の姿としても印象深い。Amazonは現在、25個所以上のフルフィルメントセンターに10万台のロボットシステムを配置している。Amazonの説明によれば、在庫商品の種類を40%アップするのに役立ったという。
スタテンアイランドの施設には、棚から所定のアイテムを取り出してコンベアに置くソーターから、Amazonと日本のオートメーション大手、ファナックが共同で開発したパレットを積み込み用の巨大なロボットアームまで、 ありとあらゆる最新のテクノロジーが導入されている。
システムの中心をなすAmazonの自社製ロボット群はすべて迅速な配送というひとつの目的のために動いている。上の階ではぎりぎりのスペースの床の上で巨大なルンバのようなロボットが厳密に制御された複雑なダンスを踊っている。
リモート操作により自由に動き回れるロボットこそ、 Amazonが2012年に7億7500万ドルで買収したマサチューセッツに本拠を置くスタートアップKivaの中心となるテクノロジーだった。3年後に同社はAmazon Roboticsと改名されたが、Kivaの痕跡はまだあちこちに残っている。人間の立ち入りを制限するロボッ作動区域を囲う柵にはいまだにKivaのロゴが見られるものの、Amazonとして2番目に巨額だ。た買収は急速に結果を出しているといえるだろう(略)。
Amazon Roboticsのソフトウェアおよびシステム・ソリューションを担当するScott Dresserは「ロボットが人間の職を奪う」という広く流布している説を否定し、TechCrunchに対し、人間とロボットのスキルセットは別物であり、相互に補完関係にあると述べた。Dresserの説明によればこうだ。
人間はプロダクトを分類しどの棚に収納すべきか即座に判断できる。コンピューターはこういう判断が苦手だ。我々は人間が得意な仕事は人間に、ロボットが得意な仕事はロボットに分担させている。このような状況はフルフィルメントセンターだけでなく、あらゆる場所で同じだ。作業をロボットによって拡張することにより、人間は全体としていっそう効率的に働けるようになる。
最近Amazonが特に重視しているのが職場の安全性だ。ニュージャージーのセンターでアウトドアでクマを撃退するためのスプレーの缶が破損し、従業員24人が病院送りとなった事件は記憶に新しい。Amazonのロボットの誤作動が当初の報じられたが、Amazonは「ロボットは無関係だった」と否定した。
ロボット区域を囲むフェンスは、人間のスタッフに危害が及ばないようにすることを目的としている。重く大型の機械が作業の一部になるにつれ、安全性はまつます重点的な配慮を要する事項となる。安全性と効率性、双方の理由から、人間は通常この区域に立ち入ること禁止されている。しかし100%完璧なシステムは存在しない。ときおりパッケージが取り落とされたり、ロボットが故障したりする。
TechCrunchでも取り上げたロボット安全ベストをAmazonが導入したのはまさにこの問題に対処するためだ。鮮やかなオレンジ色のメッシュベストには多種類のセンサーが取り付けられており、作業者にとって1、2キロの負担となる。
しかしDresserによれば、「このベストはロボットがはっきり認識できるようデザインされている。ロボットは人間のスタッフが付近にいること認識し、それに合わせて作動する。これは我々のロボットの最も基本的な機能に組み込まれている」という。
従業員がベストの機能をデモしてくれた。ボタンを押して制限区域のフェンスを開き、中に入っていくと近くにいるロボットは即座に停止し、遠方のロボットも動作を減速させた。これが何重にもデザインされた安全対策の一つのレイヤーだという。クマ撃退スプレー事件から教訓が得られるとすれば、ロボットが作動している職場での事故は、たとえロボットが関与していなくても、あっという間にトップニュースになってしまうということかもしれない。
我々はまずます頻繁にオンラインで商品を購入するようになっている。この需要を満たす上で、賛否はともあれ、ロボットの大部隊がさらに中心的な役割を果たすようになることは疑いない。
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