固定電話はまだ使っているだろうか? スマートフォンさえあれば他になにもいらない、と考えている人も多いことと思う。家庭の居間からも、固定電話は姿を消しつつあるようだ。ただし、固定電話はまったく役にたたないものなのかというと、そういうわけでもない。Amazonの新デバイスも、固定電話の有用性に注目したものと捉えることもできそうだ。
新デバイスとはもちろんEcho Showのことだ。230ドルのデバイスには、音声アシスタント機能のAlexaと、パワー十分な2本のスピーカー、そしてカメラ、およびタッチスクリーンが備わっている。
但し、この画面は「操作」に使うことを主目的とするものではない。各種操作については、オリジナルのAmazon Echo同様に音声を使う。音楽を聞きたければ、「Alexa、Beach Houseの音楽を流して」といえば、利用しているストリーミングサービスを通じて、Beach Houseの曲がストリーミング再生される。画面をタッチしてSpotifyを起動するという使い方を想定しているわけではないのだ。
つまり、Echo ShowとはAndroidタブレットのような使い方をするものではないのだ。Echoにインフォメーション・ディスプレイがついたものと考えると良いだろう。もちろん、画面をタップして演奏を中断するようなことはできる。しかし、あくまでも音声がメインの操作インタフェースなのだ。
それでは、新たに搭載されたディスプレイの売りはなにかという話になる。これはずばりビデオ通話機能なのだ。Skypeの機能をいまさらコピーしようとしたわけではない。しかしFaceTimeの登場で、ビデオ通話の魅力が広く知られるようになってきていることに着目したわけだ。
もちろんこれによって電話による通話を、コミュニケーションの主役にしようとする意図はない。今やコミュニケーションの中心はメッセージング、スナップチャット、WhatsAppなどに移っている。個人的にも、テキストメッセージを送信することで、コミュニケーションの量は増えている。しかし通話する機会は大幅に減っている。
このトレンドはますます広まりつつあり、電話のほうが便利だと思う人も少なくなっている。個人的にも、電話で話をするのは母親ぐらいという状況だ。
このようなトレンドの中で、AmazonはNucleusやInsensiのように、より簡単に使える電話機を普及させようとしているのだ。。このデバイスのコピー影響を強く受けているとも言われている。
おばあちゃんに電話をかけるときには、「Alexa、おばあちゃんに電話をかけて」と言えば良い。画面上におばあちゃんが現れる。もしおばあちゃんが外出中なら、とうぜん電話には応じないことになる。すなわち、スマートフォンで電話をするように、相手が外出先にいるときに邪魔をしてしまうこともないわけだ。
簡単な音声インタフェースを実現したことにより、子供からお年寄りまで誰でも使える点も魅力だ。まだスマートフォンを使っていないおばあちゃんに、スマートフォンをプレゼントして使い方を覚えてもらうより、はるかに簡単にビデオメッセージのやりとりができるようになることだろう。居間やキッチンに据え置いて、家族みんなで使うコミュニケーションデバイスとしての地位を獲得することになるかもしれない。
AmazonはEcho Dotにより、一家に一台のEchoデバイスの導入を目指した。新たにビデオ通話機能を加えることで、今度は「各部屋」への普及を目指そうとしているのだろう。
そしてもちろん家庭内だけでなく、離れて暮らす家族の全家庭にEcho Showを揃えようと促しているわけだ。2台の同時購入で100ドルの割引というセールも行なっている。Amazonはインフラおよびロジスティクス分野での主人公になることを狙っている。いつの間にか、リビングルームにはEchoデバイスが備わっているのが当然であるというような時代になるのかもしれない。
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(翻訳:Maeda, H)