前回U2が発表した独占コンテンツは、思ったような結果を出すことができなかった。当時Appleは、5年ぶりに発表されたU2のオリジナルアルバム『Songs of Innocence』の独占配信権を獲得するため、1億ドルもの資金を投じたと言われている。しかし、多くのiPhone・iPadユーザーは、同アルバムが強制的にiTunesライブラリに追加されたことに苛立ちを感じていた。
その影響もあってか、それ以降U2とAppleのコラボについての話は聞かなくなった。そしてこの度、Amazonが最新アルバム『Songs of Experience』に関連したコンテンツの独占配信を発表したことで、長きに渡って続いた両者の協力関係は、本当に終わりを迎えたようだ。
ちなみに今回は、無理やりユーザーにアルバムを押し付けるようなやり方ではなく、最新アルバムの発表を記念した「Amazon Music初のブロードキャスト型コンテンツ」が配信されるとのこと。『The U2 Experience』と名付けられたこのコンテンツは、ラジオ番組のようなもので、ユーザーはAmazon EchoをはじめとするAlexaデバイスを通して聴くことができる。
配信は11月30日(木)の一回限り。アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリアのユーザーが対象となる。インタビューも放送予定で、「素晴らしいメロディーと歌詞で構成されたクラシックなロック曲ばかり」といった感じでアルバムの説明をするメンバーの声も聴けるだろう。
限定版のiPodを発売するまでにいたったU2とAppleの蜜月関係に、どちからが終止符をうったのかはわかっていない。恐らくお互いが自発的に距離をおくことにしたのだろう。いずれにせよ、以前U2のボーカルのボノは、ある記者会見で『Songs of Experience』について、彼らしい語り口で謝罪の言葉を述べていた。
「おっと、その件についてはすいませんでした。(無料配信という)素晴らしいアイディアに舞い上がってしまっていたのかもしれない。アーティストはこういうことをやりがちなんだ。ちょっとした誇大妄想、気前の良さ、自己顕示欲、さらには自分たちが数年間すべてをかけて作った音楽が聞いてもらえないかもしれないという大きな恐怖が相まってこのような結果になってしまった。世の中は雑音で溢れているが、それを乗り越えるために私たち自身が少し騒がしくなってしまったようだ」
しかし、今回はそのような事態になることはなさそうだ。最新アルバムを聞きたくない人は「Alexa, play “The U2 Experience”」と言わなければいいだけなのだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)