世界のPC市場はこのところ一貫して縮小傾向が続いていて、今メーカー企業は次の成長製品を躍起になって探している。たとえばPCメーカーとしては大手に属するAcerは、WSJ紙によると、Windowsに代わる次世代製品を見つけて、主力製品をそれに切り替えたいと願っている。このような声はやがて、Acerの独唱から業界全体の合唱に変わると思われるが、それはGoogleにとっては大きな朗報だ。
Acerは、PC市場の縮小ぶんをWindows以外の製品で補おうとしている。しかもそれを、迅速にやりたい。スマートフォンとタブレットはAndroidに当然落ち着くが、昨夜(米国時間8/7)行われたAcerの四半期決算報国でAcerのJim Wang社長は投資家たちに向かって、“Chromebookに新たな市場がある”、と述べた。
すでにAcerには、Chromebook C7がある。その199ドルの製品はこれまでのネットブックとの共通点も多いが、OSがChrome OSだ。このGoogleのデスクトップオペレーティングシステムは、Chromeブラウザの機能を拡張してOSふうに仕立てたソフトウェアだ。Wangによると、2013年ではAcerの売上の10~12%がChrome OSとAndroid製品になり、2014年にはこの比率が30%に跳ね上がる。2013Q2に関しては、Chromebookの社内売上シェアはわずか3%だが、もはや空きというもののない、凝り固まったPC市場における、まだ実験的なOSの成績としては、3%は大きい。
他社の見方も、ほぼ同様だ。AsusのJonney Shih会長の見解では、Windows RTは元気のないPC市場に活を入れることに成功していない。しかしその一方で、Nexus 7には将来性を感じるので、先月に出た新バージョンでもGoogleとのパートナーシップは継続している。
これまでは、PC市場の低迷とAppleの活況、という構図があった。PCの売上減vs.iPadの急成長、という状況は、WindowsノートブックからiPadへの乗り換えが起きている、とさえ思わせた。しかし前四半期では初めてiPadの売上がダウンした。それは2013年の初めに出た新バージョンの影響もあると思われるが、しかしPCの低迷から漁夫の利を得ているのはApple製品だけではない、ということの兆候かもしれない。
GoogleのモバイルOS(Android)を載せたタブレットはなかなかファンをつかめなかったが、しかしこのところ調子を上げてきた。対照的にWindowsは、この市場で依然として苦戦している。まだ微々たる勢力のChrome OS製品も、関心を持つ人は増えている。対してWindowsは、7が8になったからといって関心層が増えるということはない。これまでのPCをおもしろくないと思い始めた消費者が、何か新しいものを探すとき、店頭でChrome OSに出会うことは重要かもしれない。少なくともメーカーたちは、これまでどおりのMicrosoft中心のビジネスを、これからもだらだら続けるよりは、何か新しいものに賭けてみることが重要、と感じ始めている。しかもMicrosoftは、Windows 8.1で、8に導入したイノベーションの一部を撤回しているではないか。
Googleには、PC業界の低迷に乗ずるためのビジネスインフラが、かねてからある。同社のライセンスモデルは、既存のメーカーの、インフラをもっと有効利用したいという欲求に迅速に応じやすい。同社のモバイルオペレーティングシステムは今とても好調だから、各メーカーが採用しやすい。またGoogleブランドは今や、世界的な認知と信頼を獲得している。
ちょっと前までは、タブレットにAndroidを採用し、ノートブックにChrome OSを使うことは、Acerのようなメーカーにとっても、試す価値のないリスクだった。Windowsは、一定の売上を必ず確保できる安定的な投資対象だった。でも、今は違う。疲弊している消費者向けPC市場に大きな揺さぶりをかけるには、今が絶好のチャンスだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))