Andy Rubinの新しいハードウェアスタートアップEssentialはこれまで、意外と騒がれなかった。Googleを突然去ったAndroidの創始者をめぐっては、憶測だけが渦巻いていた。
しかし、資金もこれまた、問題ではなかったようだ。Bloombergの報道によると、この生まれたばかりのスマートフォンメーカーは、研究開発から本番生産への移行のために3億ドルを確保したらしい。
同社のスポークスパーソンはコメントを拒否したが、Rubin自身はその資金調達の数日後にCodeカンファレンスのステージに立ち、“数億ドルの大金を調達した”、と聴衆に語った。そのときRubinは三本の指を立て、笑顔で繰り返した: “詳しくは言えないけど数億ドルだよ”。
それが本当なら、その、先月申請されたシリーズBによって同社は、ユニコーンまであと髪の毛数本という位置に達する。9億9300万ドルという評価額だ。非上場スタートアップの評価額を投資企業に提供しているEquidateが計算するとその額になる。同社によると、計算の根拠は一般公開されている申請書類だ。
昨年のEssentialはシリーズAで3000万ドルを獲得し、それによって会社の幼児期を支えた。そのときの投資家はRedpoint Venturesと、Rubin自身の投資企業Playground Globalだ。
それよりも前にRubinは、SoftBankグループに出資を打診した。その投資は、10億ドルの評価額で1億ドルになるはずだったが、結局実現しなかった。噂では同社がAppleに投資していることが、不発の原因だったという。iPhoneの成功から株主利益を得たい投資家が、その敵対機種の企業にも投資することは、ふつうありえない。Essentialのスマートホームハブ製品も、Appleの新製品、HomePodスピーカーと競合する。
投資家としては、TencentやFoxconnなどもEssentialの将来に賭けているが、問題は、二つの競争の激しい分野における、一般大衆の関心の獲得だ。EssentialのCOO Niccolo de Masiは本誌のインタビューで、同社が軌道に乗るまでの10年計画について語った: “ブランドの認知度、知名度、評価〜ロイヤリティを確立してからでないと、利益の話などできない。最初の仕事は、ブランドの構築だ”。
Rubinの名前はテクノロジー業界という狭い空間では騒がれるが、一般大衆は何も知らない。彼への期待投資が、今後どれだけ続くか、それも問題だ。