オープンソースの分散ストリームプロセッサーApache Flinkの商用部門Data Artisansが、ストリーミングアプリケーションを管理するための新しいツールを含む、このプラットホームの商用バージョンの、アーリーアクセスリリースを発表した。
Data ArtisansのCEO Kostas Tzoumasによると、リアルタイムでストリーミングを行うプロダクトを管理するアプリケーションは、それを自分で作ろうとする顧客にいくつかの難題をつきつけるので、同社のApplication Managerはその難題を解決するために設計されている。
Netflix, Alibaba, INGなど大手のFlinkユーザーには、そのようなツールを自作して大量のストリーミングアクティビティを管理しモニタする能力があるが、平均的な企業にはそんな贅沢ができない、とTzoumasは語る。
そんな顧客が作って使っているアプリケーションは、さまざまな外部システムと対話するものが多く、しかもそれをやりながら、大量のデータを、ほぼリアルタイムで処理しなければならない。Data Artisansは、そういう処理につきまとう複雑性を軽減するために、管理の部分を担当するツールを作ったのだ、とTzoumasは説明する。
その新しいツールはFlinkを通るすべてのストリーミングアクティビティを一箇所で集中的に管理する管理コンソールを提供する。そしてストリーミングデータのデータソースやデベロッパーのワークフロー、サービスのデプロイアーキテクチャ、ロギング、メトリクスなどを一望できる。
Apache Flinkを利用しているストリーミングアプリケーションと対話するすべてのサービスを管理できるだけでなく、そのツールを使ってデベロッパーがアプリケーションの開発過程を管理できる。完成したそれらのアプリケーションは、Kubernetesのようなコンテナオーケストレーションツールを使ってローンチする。
さらに、Apache Flinkのストリームに関連するすべてのユーザーアクションの監査証跡を記録するから、デプロイ後にそのステップをさかのぼって調べることができる。
ファウンダーのTzoumasとCTOのStephen Ewenは、Apache Flinkを学生時代に作り、2014年にはその商用化を行う企業としてData Artisansを創業した。標準的なオープンソースのビジネスモデルを採用して顧客がApache Flinkをサポートできるようにし、また企業がApach Flinkによるストリーミングアプリケーションを作るときにはコンサルタントとしてそれを手伝う。しかし、そうやって企業顧客との付き合いを重ねる中で、管理ツールの不在に新たなビジネス機会を見出したのだ。
彼らの会社はベルリンにあり、これまで700万ドルを調達した。今、Apache Flinkのダウンロード回数は1か月に1万ぐらいだ。この記事で取り上げた商用バージョンは2017年の終わりから2018年の初めにかけて一般公開される。