APIを保護し脆弱性を発見するスタートアップSalt Securityが約21.5億円を調達

米国時間6月16日、企業のAPI保護を支援をするスタートアップのSalt Security(ソルト・セキュリティ)は、2000万ドル(約21億5000万円)のシリーズA資金調達を行ったことを発表した。パロアルトを拠点とする同社は新しい資金をTenaya Capitalから調達し、これで調達資金総額は約3000万ドル(約32億2000万円円)となった。

SaltのラウンドがTechCrunchの目に止まった理由は、それがここ数カ月の資金調達の中で、APIを存分に活用するスタートアップが増加している傾向にマッチしていたからだ(未訳記事)。 Plaidの華々しいエグジットやTwilioの継続的な成功の裏で、APIはスタートアップにとって投資家と買収者の両方を引きつけることのできる、大きな利益を与えてくれるもののようだ。

注目すべきは、Salt SecurityAPIセキュリティサービスを提供しているということだ。ウェブサイトによれば同社は、顧客がAPIに対する「攻撃」から身を守り、APIに関わる「脆弱性」を発見するための支援をSaaSアプリケーションを通して行っているという。また同社がTechCrunchに伝えたところでは「顧客の環境の中でAPIを介して他のソリューションと統合」を行うことができるということだ。いずれにせよ、SaltがAPIエコノミーに焦点を当てたスタートアップであるため、私達はその資金調達に注目したいと考えた。

企業にとって新しい資本を引き付けることが難しいとされているこの時期(未訳記事)に、同社がどのようにして資金を調達できたかを把握するために、私たちは多少掘り下げを行った。より多くのスタートアップがそのビジネスを強化するためにAPIを使っているのかどうかについての詳細に関しては、以下のメモをさらに読み進めて欲しい。

Saltがなぜ資金を確保できたかに対する、TechCrunchが推測できる短い答は「成長」である。同社によれば、Saltは「新型コロナウイルス(COVID-19)にもかかわらず、既存顧客を失うことなく、2020年前半に2019年末に比べて収益を倍増させた」のだ。シリーズA調達を行ったばかりでもあり、同社の2019年末の売上はそれほど大きなものではなかったと思われる。同社の売上の拡大のペースは、まさに民間の投資家たちが賭けたくなるようなものだ。

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さらに素晴らしいことに、TechCrunchからの過去18カ月間の売上総利益に関する質問に対して、同社は「売上総利益は90%以上と大幅に増加しました」と答えてきた。Saltはまた、この記事へのコメントとして、大企業からの同社の製品に対する需要が急増していると述べている。

しかし、APIスタートアップに焦点を当てる私たちの立場からは、より関心が高いのは小規模な企業たちだ。TechCrunchはSaltに対して、成長中のテクノロジー企業の間で、APIを利用したビジネスモデルの人気が高まっているかどうかを尋ねてみた。電子メールを通じて同社は、「サードパーティのAPI利用が増加し、より多くの企業が、パートナーがデータを共有するための新しいAPIを提供しています」と回答してきた。そしてAPIは「スタートアップだけでなく、ビジネスの革新と成長を目指す既存企業にとっても、拡大しているビジネスモデルであることは間違いありません」と続けている。

この傾向を見逃さなかったことに、私たちはほっとしている。

最後に、この記事のためにSaltを調査しているときに、TechCrunchは会社のウェブサイトに掲載されている経営陣が、全員男性であることに気が付いた。私たちがこの課題をスタートアップに対して指摘したところ、同社は「多様性とその受容は当社の文化の核心です」と答え、またその課題を「健全で生産的で創造的で成長しているチームにとって重要なこととみなしています」と答えてきた。Saltはまた「年末までに規模を2倍にする計画なので、このことによって経営幹部やチーム全体で多様性を拡大する多くのチャンスが生まれるでしょう」と述べている。次に同社と話をするときには、また同じ指標を確認する予定だ。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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