オリジナルコンテンツ制作におけるAppleの野望は、ますます勢いを増しているようだ。Wall Street Journal(以下、WSJ)の報道によると、同社は今後1年間で独自コンテンツ制作に10億ドルを投じる予定だという。この金額はHBOが昨年番組制作に支出した額の約半分で、コンテンツ制作専門企業の予算に近づいている。
Appleは今年、「Carpool Karaoke」や「Planet of the Apps – アプリケーションの世界」などの番組をApple Musicで配信し、オリジナルコンテンツの分野に足を踏み入れた。WSJの報道は、Appleは新しく割り当てた予算を使い、最大10本のテレビ番組を追加する可能性があることを示唆。Appleの音楽と動画配信サービスを担当するシニアバイスプレジデントEddy Cueは、HBOの「Game of Thrones」と同等のコンテンツ提供を同社の目標に掲げていると報じられている。
これら資金の使途は、AppleがSonyのエンターテインメント事業から採用したJamie ErlichtとZack Van Amburgの手に託される。WSJの情報筋によると、2人は今月初頭に番組制作を率いる立場となった。コンテンツ制作専門家と幅広い番組ラインアップを加えたAppleは、Apple Musicからストリーミング動画サービスを分離することもできるだろう。しかし、全体のサブスクリプション数増加のために、2つのサービスを統合しておくかもしれない。
10億ドルは大きな金額に見えるかもしれないが、競合のコンテンツ制作会社はさらに多額の費用を独自番組の制作に投じている。Amazon Prime Videoは、2013年という早い段階で独自番組制作の企画にAppleと同等の額を費やし、2017年には45億ドルを投じる予定だと報道された。Netflixは今年、60億ドルの予算を充てるとみられる。Appleが資金不足ということはない。つまり来年、成功の兆しが見えれば、すぐに支出を増やすことも可能ということだ。
今のところ、同社の番組は酷評を受けている。「Planet of the Apps – アプリケーションの世界」と「Carpool Karaoke」の初期のレビューは散々な結果だった。だが、その酷評もAppleの野望を阻止するには至っていないようだ。WSJの報道の通りであるなら、Appleは前回の不調で、成功のためにはより強固な姿勢をもってオリジナルコンテンツ制作へ取り組む必要があると気づいたということなのだろう。
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