Appleは以前からオリジナル番組の製作に興味を示してきた。Appleはハードウェアの巨人だが、独自のコンテンツ・ビジネスに参入するのはこれが初めてではない。昨年夏にはJames CordenのLate Late Showからミシェル・オバマが車内でカラオケを歌うことで話題になったCarpool KaraokeシリーズをApple Music向けに購入している。AppleはDJ、ラッパー、プロデューサー、ヘッドフォン開発者のDr. Dreの半生を描くドキュメンタリーのを製作中で、このシリーズも今年中にApple Musicで公開される。
しかしAppleはこうした実験的試みよりもはるかに大きなスケールでコンテンツ作製に関与するようになるという噂だ。Wall Street Journalによれば、Appleは「台本あり」のテレビ番組、ないし映画の製作のために大物プロデューサーに積極的に近づいているという。AmazonやNetflixが提供しているプロダクトに近い大型の成果物を目指しているようだ。
Appleは「慎重に検討された少数の番組あるいは映画」の提供からスタートするとされるが、そうであれば―少なくとも当初は―新しいプラットフォームの提供というほど全面的ななものではない。ただしAppleはこうしたオリジナル・コンテンツを公開する方法についてまだ詰め切っておらず、コンテンツ製作に関して確定的な契約は結んでいないないという。
Appleのオリジナル・コンテンツの製作が、NetflixやAmazon Videoのような全面的なビデオストリーミング・プラットフォームの提供というより、現行のコンテンツ・プラットフォームの競争力をアップすることにあるらしいのは興味ある点だ。Apple Musicは着実に契約ユーザーを増やしているが、Spotifyを追い越すことには失敗している。
〔日本版〕原文記事のscriptedは「台本あり」と仮訳してあるが、事前に用意された台本に即して製作が行われる番組全般を指す。狭義のドラマに限らず、ドキュメンタリーや情報番組の場合もある。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)