以前の報道を裏付けるように、Appleは今日、第四世代となるApple TVをサンフランシスコで開催した9月恒例のプレスイベントで発表した。端末アップグレードには、機能を拡充したハードウェア、「tvOS」と銘打つ新しいOS、ユーザーエクスペリエンスの改良と、開発者向けツールの刷新が含まれる。最も注目すべきなのは、Apple TVに音声コントール機能、Siri、ユニバーサル検索、そして待望のApple TV用App Storeが登場したことだ。このApp Storeは大画面テレビで遊べるゲームに重点を置いている。
また、新しいリモコンにはタッチパッドとモーションコントロールの両方を搭載している。
リモコンは、タッチを検知するトラックパッドを押したりスワイプすることで、例えば早送りや巻き戻しの操作ができる。加速度計とジャイロスコープを搭載しているおかげで、動かしてゲームを操作できる。
AppleのCEOであるTim Cookは、大画面でアプリやゲームを利用するニーズがあるとし「有料テレビの視聴の60%はAppleの製品を経由しています。アプリからテレビを体験することで、その良さが分かるでしょう」と言う。
リーク情報は多々あったが、Apple TVの価格と異なるストレージ容量のモデルを提供するかどうかは不明だった。
本日、Appleは新しいApple TVのハードウェアの販売価格とモデルを発表した。2つのモデルがあり、32GBモデルを149ドルで、64GBモデルを199ドルで販売する。
開発者はtvOSに今日からアクセスすることができる。Apple TVは10月から出荷予定だ。
スペック
スペックに関しては、新Apple TVはA8プロセッサを搭載している。iPhone 6とiPhone 6 Plusに搭載しているものと同じものだが、最新のiPhone 6SとiPhone 6S PlusのA9チップほど速くはない。しかし、既存のApple TV端末はシングルコアのA5プロセッサを搭載していることから、A8の搭載は大幅なアップグレードと言える。
また、端末には電源プラグ、HDMIポート、イーサネットポートが後ろにある。
端末は以前の物より分厚くなっている。これも噂通りだ。
Apple TVのソフトウェア:Siriと検索
ハードウェアの次はソフトだ。今日の重大ニュースはApple TVの中身のことではなく、何ができるかということだろう。最も顕著なのは、テレビに最適化したiOSバージョンを駆動していることで、最近の噂通りにSiriを導入したことだ。ユーザーは、音声入力で検索を簡単に行うことができ、Appleの「Proactive」検索で、システム内を広く検索することが可能となる。
ユニバーサル検索は、Rokuなどのテレビに接続するプラットフォームの競合に搭載されている便利な機能だ。新Apple TVにもある。
これにより、iTunes Store、Apple Music Library、更にはNetflix、Hulu、HBOやShowtimeといったオンラインサービスでタイトルを検索することができるのだ。
デモでは、Appleはユニバーサル検索が使える場面の例を実際に行って見せた。例えば、「映画を見せて。新しい映画だけ!」とか「Jason Batemanが出ている映画を教えて。間違えた、Jason Bourneの方!」と言って、検索できる。
Siriは、今日のイベントでの重要なポイントだった。プレスイベントの招待状にも「Siri、ヒントを教えて」と書いていたのだから。モバイルアシスタントは、水曜日の発表前にこの質問をしたユーザーに対し「噂を集めたブログを見てみたら」とか「情報を必死に求めるあなたってかわいい」と言って からかっていた。
新しいApple TVでは、Siriで複数のアプリを横断する検索が可能になる。全てのアプリを網羅するものではないが、選択肢を一つの画面上に全て表示することができる。アプリや映画を見つけるためだけではないとAppleは伝えている。スポーツの結果や天気といった従来のデジタルアシスタントにできる質問にも回答する。
「tvOS」と銘打つiOS 9の搭載は、Apple TVのユーザーインターフェイスに衣替えがあったことを意味している。この端末には、例えばアニメーションの壁紙、スクリーンセーバーなどが加わり、インターフェイスも新しくなっている。
既に複数の開発者はtvOSでの開発が許されている。Hulu、Ubisoft、Disney、Activision、Airbnb, Hipster Whale (Crossyroadの製作者)、 Harmonix、Gilt、MLBなどだ。
開発者の名前を見てみると、Apple TVはゲームに軸を置いていることが分かるが、それだけではないようだ。Appleは、買い物をしたり、旅行の計画を立てたりする場合にもこの端末の利用を提案している。
Apple TV用のApp Store
ソフトウェア関連でもう一つの重大なニュースは、 Apple TV用のApp Storeがデビューしたことだ。アプリ開発者向けのSDKもある。App StoreはiOSのストアと良く似ていて、例えばランキングやカテゴリー別の分類もある。また、アプリの開発者はアプリをユニバーサルで購入できるように設定することが可能だ。つまりiPhone、iPad、Apple TV用のアプリを一度に購入できるということだ。
また、Appleは例えば帰宅途中にモバイルで遊んでいたゲームを、自宅に帰った後、大画面テレビで続きをプレイできるような仕組みも作っているという。
Appleはゲーマーとゲーム開発者を既存のXbox、WiiやPlayStationといったゲームコンソールから、自社のハードウェアに惹き付けたい考えだ。これはそう簡単なことではないだろう。
アプリ、ゲーム、Siriへの対応の他に、Apple TVは物理ボタン、モーションコントロール機能、上部にガラスのタッチ画面の付いた新しいリモコンを一緒に発送することを発表した。
新しいリモコンが新しい端末でのゲーム体験を面白くするだろう。Wiiのようなモーションコントロール機能があり、マルチプレーヤーにも対応したゲームをプレイできる。そして例えば、リモコンを振って野球のバットのスイングを再現することができる。
リモコンは赤外線通信ではなく、Blutooth 4.0経由で動く。つまり、LOSの送受信可能な範囲に制限されることがない。CECでテレビの音量、電源の操作を行うことができる。リモコンは充電式の電池を使用し、一回の充電で3ヶ月使用できる。
App Storeのゲーム対応は、Apple TVの事業の底上げに大きな影響を与えると予測するアナリストもいる。例えば、 J.P. Morganは最近、Appleは2400万台のApple TVを2016年度に売り上げると予想するレポートを発表した。
2010年後半にApple TVが現在のデザインで登場してから、今回が初めての大幅な刷新となった。これは、停滞してたテレビと接続する端末の売上を押し上げることにつながるだろう。Parks Associatesの8月のレポートによると、 Rokuが2014年のストリーミングメディア端末の売上を牽引し、その後にGoogle、Amazon、そしてApple TVが続いていた。
今回のApple TVの発表になかったのは、長いこと噂されていたインターネットテレビサービスだ。以前の報道では、Appleはコンテンツパートナーと共に月々40ドルでケーブルテレビを代替するサービスをローンチするための協議を行っているということだったが、その後の噂では、このサービスは来年まで持ち越されるそうだ。
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