AppleのCEO Tim Cookが最近Wall Street Journalで行った発表には、Carl Icahnの影が見える。その発表によるとAppleはこのほど、同社の大規模な株式買い戻し計画の一環として、Appleの株140億ドル相当を買い戻した。ただしそれは、今日の同社の時価総額の3%強にすぎない。
投資家で業界の活動家でもあるCarl Icahnは先月、Twitterを利用してAppleに圧力をかけた。Appleの株式買い戻し計画は不十分だ、とツイートしたのだ。
We feel $APPL board is doing great disservice to shareholders by not having markedly increased its buyback. In-depth letter to follow soon.—
Carl Icahn (@Carl_C_Icahn) January 22, 2014
[ツイート訳: Appleの取締役会は、買い戻しを顕著に増加させないことによって株主に大きな損害を与えている。詳細は後報で。]
iPhoneが5000万台売れるという記録的な売上を達成したAppleだが、2014Q1の業績は好悪相半ばしていた。その大きな売上額は証券業界の予想より少なく、利益は多かった。しかし利益が131億ドルもあるのだから、同社の現金保有額は増える一方だ。
実際に同社の手元現金は1588億ドルに増加した。それは今後もAppleの大きな戦略的資産でありつづけるが、しかし株主たちは、自分もその分け前に与りたいと思う。
Appleは最初数年前に、配当を検討した。しかし株価が同社の期待より低かったので、株の買い戻しを開始した。
同社の株式買い戻し計画は、自社の株に対する大きな自信の表れだ。それは、Appleが手元現金の投資方法としてそれしか考えていないことを意味する。言い換えると、Appleのお金の最良の投資先はAppleの株だ、とTim Cookは考えている。また一方では、それによって社外株を減少させる。Appleという会社の、既存の投資家の持分が増える。
過去12か月で同社は、買い戻し計画の総額600億ドルのうち400億ドルを買い戻した。そして現状では、そのペースで今後もさらに株の買い入れを続ける、という話はない。
しかし、Googleが1月に32億ドルでNestを買収したが、Appleはむしろそれに先駆けて、自分がNestを買うべきではなかったか?
この電脳温度計企業には、Apple出身の技術者が多い。ファウンダでCEOのTony Fadellは、AppleのSVPとして初代iPodの開発を担当した〔原文では“iPhone”〕。それだけの人材がGoogleに行ってしまうのは、得策とは言えない。本誌の取材によると、Nestの連中がGoogleのハードウェア部門を中核的に担うのだ。〔余計な訳注: 何言ってんだよ、製品開発でぶつかる==自分のやりたいことができないから、Fadellは独立したんだろ。ぶつかる連中を馘あるいは隔離しなけりゃ、絶対舞い戻らないぜ。同じ中東の血を持つJobsは、もういないんだし。〕
これまでの15か月で、Appleは21の企業をそれぞれ10億ドル以下という小額で買収した。株式買い戻し計画に関するTim Cookの発表は、今および今後の株主たちを安心させるだろうが、同社にとって次の重要なステップは、誰にもその重要性が理解できるほどの有意義な大型買収に、思い切って踏み出すことではないか。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))