近年Appleは、IBM、Cisco、そしてSAPといった企業パートナーたちとの提携を行ってきた。しかし本日発表されたGEとの直接提携は、これまでものとは少々異なっているようだ。両者はより密接な関係を狙っている。
AppleとGEは、Appleのデザイン感性とiOSに関する深い知識を用いた開発ツールの提供と、アプリケーションの開発を共同で行う。しかし話はそこで終わりではない。Appleのセールスチームは、GEのPredixプラットフォームを企業ユーザーに対して必要に応じてプッシュしていく。そしてGEは、その33万人の従業員に対してiPhoneとiPadを標準として採用することと、コンピューターの選択肢としてMacも採用することを決定した。これらによって、Appleのこれまでの企業提携では見ることのなかったレベルの協力関係を、私たちは目にすることになる。
手始めに2つの企業は、GEのPredixプラットフォーム向けiOS用開発キット(SDK)を発表した。Predixプラットフォームとは、企業顧客がGEの販売した巨大な産業機械の状態を追跡することができるようにデザインされた、一連のクラウドサービスである。ジェットエンジンや風力発電機、そして機関車などの、高価な機器の障害が発生しダウンする前に、それらを予測することを助ける。
ここでの鍵は、新しいSDKは、外部の開発者たちとGE内部の開発者たちの両者に、Predixプラットフォーム向けのネイティブアプリ開発能力を提供し、最新のAppleエコシステムの利点をフルに使えるようにさせるということである。例えばiBeaconや、iPhoneの中にあるジャイロスコープセンサー、そして最新のiPhoneに装備された拡張現実機能さえも利用可能になる。
ソフトウェア開発の増加に備えて、GEはPredix上に新しいアプリケーションパフォーマンス管理アプリ(APM)を開発した。このツールを利用すれば、顧客たちはiPadを使って自分たちの産業機械の状態をモニターすることが可能になる。そして、最後に行った操作、メモ、そして写真などを簡単に共有して協力することができるようになる。判断をリアルタイムに下せるようにデータを提供するように、全てがデザインされている。
Appleのアプリ、マーケット、ならびにサービス担当副社長のSusan Prescottは、このパートナーシップがもたらす可能性について希望に満ちたコメントを行なった。「初めて私たちは、企業ユーザーの皆さまに、信じられないほどの可能性をお届けできることになりました。素晴らしいやり方でiOSを使った機能をご提供できるからです。これからは従業員の皆さまは、ワンタッチでアプリのネイティブ機能にアクセスすることで、より良い判断を下すことが可能になります」とPrescottはTechCrunchに語った。
彼女はこのことが可能にする、いくつかの例を示した:「いまや技術者はiPhoneのビルトインカメラを使って、問題を診断するために機器の一部の熱画像を撮影することができますし、またiBeaconや組み込みの位置サービスは、重要な情報を近くの従業員のiPhoneまたはiPadにリアルタイムに送信して、問題を素早く検知することもできます。私たちは基本的に、産業の現場にいる従業員の皆さまと、そしてクラウドに保存された分析データの間とのフィードバックループを完結したものにしようとしています」と彼女は語った。
もちろん、1888年にトーマス・エジソンによって起業されたGEは、そのほぼ100年後に起業されたAppleとは、これ以上ないほどに異なった企業である。とはいえ、読者が想像するよりは両者の共通点は多い。
スティーブ・ジョブズとエジソンという、強烈なカリスマ性と要求水準を持つ創業者を擁していたこと、そしてテクノロジーで世界を変えるという内部的なミッションを持っていることなどが共通点として挙げられる。GEはそのミッションを、風力タービンや飛行機エンジンのような巨大な産業機器で実現したが、アップルは携帯電話、コンピューター、時計といった小型機器に進んだ。
近年GEは近代化を強力に推進しているが、この提携は明らかにその一部である。
SDKとAPMアプリは、米国時間10月26日に、GEのMind+Machinesカンファレンス開催と同時にダウンロード可能になる予定だ。
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(翻訳:sako)