Appleは生物医学方面の研究者集団を雇って、センサーを利用して糖尿病患者をモニタする秘密のプロジェクトに取り組んでいる、とCNBCが報じている。
糖尿病患者は世界中で3億7100万人いる、と推定されていて、近年ではいくつかのテクノロジー企業が新しい治療法の開発に取り組んでいる。たとえばVirtaという新進のスタートアップは、患者の行動をリモートでモニタし完全に治癒することを目指している。またベイエリアのLivongo Healthは5250万ドルを調達して、血糖値監視製品を開発している。
通常、患者が自分のグルコースをモニタするためには、腕などに針を刺して自分の血液を採取していたが、それをしなくてすむようになれば、大革命だ。CNBCにそのニュースを教えた人は、Appleが開発しているのは皮膚の下に埋め込む光学式のセンサーで、その光り方でグルコースの値を測定できる、と言っている。
針を使わない方法はこれまでにもいくつか考えられたが、いずれもうまくいかなかった。Alphabetの生命科学企業Verilyは、グルコースレベルが分かるコンタクトレンズを考えたが、一部の報道によると、すでに3年経ったそのプロジェクトは、あまり快調ではないようだ。
しかし報道ではAppleのプロジェクトも少なくとも5年は経っており、今ではフィジビリティテストを行うべき段階だ、という。また、この種の製品に対する規制をクリアするために、コンサルタントを雇った、とも言われている。
チームを指揮するのはAppleのハードウェア技術担当SVP Johny Srouji、メンバーは30名だそうだ。その中の少なくとも10数名は、Appleが生物医学分野(ZONARE, Vital Connect, Sano, Medtronicなどの企業)から熱心にスカウトした人たちのようだ。
このプロジェクトについてAppleに確認することはできない(Appleからの返事がない)が、同社はかなり前からこのようなビジョンを持っていた。Walter Isaacsonが書いたSteve Jobsの伝記によると、彼はAppleをテクノロジーと生物学が交わる場所にしたい、と考えていた。今すでにその場所にいるのが、ウォーキングの歩数を計り、燃焼カロリーを計算し、心拍などの生物学的測度を計るApple Watchだ。そして皮膚に埋め込むグルコースセンサーも、同じくユーザーがどこにいてもグルコースレベルを計ることができて、採血の必要もないから、業界を一変させる製品になるだろう。