Apple小売部門トップのメモが「今後は物理店よりネット販売を重視」という新方針をリーク

Appleは小売販売の形を変えて、これまでの、新製品が発売されるたびにマスコミが大きく報じるような、発売日の店頭の行列騒ぎを、奨励しない方針にするらしい。それはAppleの小売部門のチーフAngela Ahrendtsが今日、小売ストア(Apple Store(s))の社員と共有したメモに書かれているとされ、Business Insider誌が入手して特ダネとして報じた。少なくともApple Watchと新しいMacBookに関して、Ahrendtsは、顧客には物理的な場所における幸運を試させるのではなく、オンラインで注文することをすすめるよう、店舗のスタッフに指示している。

そのメモは”Get in line online”(オンラインで列を作ろう)と題され、 Ahrendtsは、顧客にはApple StoreアプリやWeb上の店頭がApple Watchと新しいMacBookを確実に入手するための最良の方法であることを伝えよ、と小売のスタッフにアドバイスしている。そして、顧客をそのような販路へ導くことを、小売部門の役員(彼女自身)は、“重要で大きな方針変更”、と呼んでいる。

オンラインで列を作ろう

私たちのお客さまが、行列に並んで待ち、ひたすら幸運を祈る日々は終わりました。Apple Storeアプリと我が社のオンラインストアで、Apple Watchと新しいMacBookをもっと容易に買えるようになりました。お客さまには、製品がいつどこへ到着するかが、正確に分かります。

これは大きくて重要な方針の変更です。それが実際に実現するためには、あなたの助けが必要です。お客さまには、オンラインの方が在庫がずっと豊富であることを、お伝えください。そして、注文がとても容易であることを、お示しください。そうすることによってあなたは、お客さまを困らせるのではなく、幸せにするのです。

BI誌の記事は、われわれがすでに聞いていることを繰り返している。ローンチ時におけるApple Watchの店頭在庫は十分に供給できない。したがって飛び込みのお客への対応は難しい。新しいMacBookは思い切った新しい部位が多いため、やはり十分な量の初期在庫を準備できない。これらが、顧客をオンラインに向かわせる理由だ。

しかしいずれにしても、Appleがローンチ時にいつも以上の、異状なほどの需給不均衡を予想しているのでもないかぎり、これはAppleの基本的な考え方の大変化だ。iPhoneなどでは、Apple Storeの前に発売の数か月前から列ができるのが当たり前で、それをAppleは気にもしなかったのだから。

Appleの派手なローンチにはほとんどつねに、店頭の長い行列という見せ物が伴った。ニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコ、そして世界各国の首都では、とくにそうだった。そんなときAppleの社員が、お客に小売アプリやオンラインストアをすすめるところを、目撃したことは一度もない。それには理由がある。行列はマスコミが取り上げる、そしてそれがさらに一層、Apple人気を燃え上がらせるからだ。

今回の一件が、製品が独特だったから、ということもありえる。Apple Watchは、徹夜で、あるいは何日もぶっ続けで列に並ぶ、という熱狂的なAppleファンの儀式が、似合わない製品ではないか。あるいは新任の小売担当トップが、製品のデリバリが円滑であることと、欲求不満の顧客を作り出さないことを、巨大な行列というスペクタクルよりも優先したのかもしれない。

Apple Watchで初めて導入される小売体験のシフトは、Ahrendtsの技量の評価にもつながる。だからそのローンチは、Appleの物理店の将来の方向性に関心のある人たちにとって、必見のショウなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa