まだ「Apple Prime」とまではいかないが、これは相当魅力的だ。Apple(アップル)は米国時間10月31日に、Apple CardユーザーがiPhoneを購入する際、24カ月無利息で融資を受けられるサービスを開始した。これは、iPhoneの最新モデルへと頻繁にアップグレードするが、そのために借金することの多い消費者へのアピールを狙ったサービスだ。
「Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス) のApple Cardを持っているiPhoneユーザーは、新たな選択肢を手に入れることになり、伝統的クレジットカードのような利息や手数料はかからない」とアップル。加えて、Apple Cardはアップルからの購入に対して3%のキャッシャバックを行っているので特典はさらに魅力的になる。
このプログラムは、最終的にアップルの大規模サブスクリプション商品、通称「Apple Prime」になると一部の人たちが信じているものの土台作りになる。Apple Primeという仮称は、迅速な無料配達に加えてさまざまな特典を提供しているAmazon Primeになぞらえたものだ。
アップルのハードウェアサブスクリプションとは、最新のアップルハードウェアを使えるだけでなく、AppleCareなどのサービスがついてくるもので、現在あるiPhoneアップグレードプログラムと似ている。ただ後者の場合利息は0%だが手数料がかかる。しかし、真のApple Primeには、iCloud、Apple Music、Apple TV+、Apple News+、Apple Arcadeなどのサブスクリプションサービスがバンドルされることになる。
アップルはすでにサブスクリプションバンドルの実験を始めている。たとえば今週学生向けバンドルとして、Apple MusicとApple TV+の両方を、Apple Musicの学生プラン(月額480円)と同じ料金で提供開始した。またある意味でアップルはすでに、ストリーミングサービスのApple TV+をハードウェアにバンドルしていて、同社製ハードウェアを新規に購入するとApple TV+を1年間無料で利用できる。
このところアップルは、さらに本格的なiPhoneサブスクリプションプログラムに向かって着々と進んでいる。数年前から実施しているiPhoneの下取りプログラムは、新しいiPhoneの購入価格を引き下げるわかりやすい方法だ。
例えば9月のiPhone 11イベントでアップルは、この仕組みを使ってiPhone 11の低価格を強調するスライドを見せた。iPhone 8を下取りに出せば、iPhone 11は最低価格の699ドルではなく、最低399ドル、月当たり17ドルで手に入る。iPhone 11 Proは、iPhone Xの下取りで月額25ドルに、Pro Maxは Xの下取りで月額29ドルになることもアップルは表明した。一連のプロモーションは功を奏しているようで、以前よりも多くのアップルユーザーが下取りを利用している。
「下取りプログラムは非常に好調で、1年前と比べて5倍も利用されている」とアップルでCFOを務めるLuca Maesti(ルカ・マエスティ)氏が決算会見で語った。
長期的な展望は、アップルのの顧客ベースにiPhoneを高価な一時の買い物ではなく、毎月請求される支払いの1つと思わせることだ。保証やメディアやエイターテイメントのオプションをいくつか足してやれば本物のiPhone主導サブスクリプションが出来上がる。それこそがApple Primeだろう。そして、Apple Cardのおかげで、アップルはユーザーに直接アップルから商品を買うインセンティブを与える方法を手に入れた。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )