Appleの四半期決算が出た。そこで多くの業界人が注目しているのがiPhoneの平均販売価格だ。現在は580ドル前後で昨期の613ドルと比べると大きな変化だ。考えられる理由はいくつかあるが、それはAppleにとって必ずしも悪いことではない。
AT&Tは同四半期にかなり積極的な価格攻勢をかけ、その中にはiPhone 4Sを下取りしてiPhone 5を無料で提供するものもあった。AT&Tは収支会見で、前年同期よりも多くのiPhoneを販売したと言ったが、正確な数字は明かさなかった。おそらくそれは非常に好調だったという意味であり、大量の無料iPhoneを配った可能性があることを意味している。同四半期にはT-MobileもiPhone 5を発売し、当初はライバル他社よりも安くiPhoneを売っていたことも思い出してほしい(しかし、誰が損を被っているのかは不明だ)。
これは、AppleがiPhone 4やiPhone 4Sなど、現在も入手可能な旧機種を数多く販売していることを強く示す証拠でもある。Appleはこれらの機種をかなり安く卸しており、平均販売価格も低いことが多い。Walmartも6月後半からiPhone 5およびiPhone 4Sの値下げを始めており、これも平均販売価格を下げる要因だ。
では、なぜそれがAppleにとって良いことなのか?3100万台のiPhoneというのが非常に適切な理由の一つだ。Appleは、平均販売価格を下げることによって市場シェアを伸ばし、このプラットフォームにも端末売上全体にも、長期的な恩恵をもたらしている。なぜならiPhoneオーナーが他のApple製品を買うようになる、というハロー効果を生むからである。そして低い平均販売価格は、新興市場への侵入にも有利であり、これも同社にとって長期的恩恵だ。もし、この秋に低価格のiPhoneモデルが発売されれば、途上国市場はさらに開かれるだろう。
それでもAppleは、「今もiPhone 5は圧倒的に最も売れているiPhoneである」と収支会見で言ったが、同時に「iPhone 4とiPhone 4Sの販売状況にも大変満足している」とも言った。だとすれば、プロモーションは、旧機種以上に平均販売価格に大きな影響を与えたのかもしれない。
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(翻訳:Nob Takahashi)