アナリストを抱えるCanalysがApple Watchの動向についての推計を発表している。そのレポートによると、Apple WatchがリリースされたQ2期間にて、出荷台数は420万台であったとなっている。
この数字は以前から市場に投入されていたウェアラブル(たとえば、価格もより安いFitbitや他社製のスマートウォッチ)の販売台数を上回るものだ。ただしAppleブランドのデバイスとしては、かなり低い台数にとどまっていると言わざるを得ない。昨年段階では、Apple Watchの初年度販売台数を3000万台以上と予測していたアナリストもいた。
またSlice Intelligenceはデジタルレシートのデータを解析して、Apple Watchは販売日に米国内で100万台がプレオーダーされたという調査を発表してもいた。ただし、それから5月半ばまでの間で、プレオーダーの数が250万台程度に留まり、強い購買行動は見られないというレポートも発表している。
Canalysは、発表がQ4のホリデーシーズンをシーズンの後になったことがスタートダッシュを妨げた面もあるだろうとしている。また初期におけるサプライ側の遅れも販売台数の伸びという側面からは障害と考えているようだ。そして、ウェアラブルを活用するためのアプリケーションの登場が、今後の動向を鍵を握っていると結論づけている。
Apple Watchの動向には、他にも多くのアナリストが注目している。たとえばFortuneはさまざまな予測をまとめた記事を発表している。予測の中で最も少ないのは285万台で、最多が570万台となっている。27の予測の中、平均は400万台となっているようだ。
そのうちのひとつ、Piper JaffrayのGene Munsterは、予測範囲の中で中間程度の値を示している。Q3での売上台数を300万台程度とし、この値についての評価をツイートしてもいる。曰く、不満を感じている投資家もいるようだということと、また、この低ペースはAppleの販売戦略(小売店で扱わない方針、など)にもよるのだろうと推測している。Piper JaffrayによるとApple Watchは徐々に広がり、そして2017年にブレイクするのではないかとのこと。2016年に1400万台、そして2017年には4000万台が売れるのではないかと予測している。
いろいろな意見があるが、ともかくApple Watchのような、新しく登場したばかりのジャンルについては予測が非常に難しいということはわかる。また、Apple Watchの普及は、iPhone以上にアプリケーション次第ということもあるのかもしれない。Apple Watchのアプリケーション環境は、いまのところまだ整い始めたところという段階で、これについては今後に期待せざるを得ない。さらには、Apple Watchは単独で用いるようなデバイスではなく、iPhoneと協調させて利用するようなシーンが想定されてもいる。それもまた販売ペースを下げる要因となっていることだろう。もちろん高めの価格設定が足かせになっている面もあるはずだ。消費者は慣れ親しんだアプリケーションをすべて利用できるiPhoneのためにお金をとっている面もあるはずで、Apple Watchの導入に二の足を踏む人も多い様子だ。アプリケーションが質量ともに充実する前は、まずiPhoneの利用者にむけて、Apple Watchのメリットを積極的に伝えていく必要があるだろう。
なお、全体の売上については本日(米国時間7月21日)中にも業績レポートが公開されるはずだ。ただしApple Watchのセールスに関する詳細なデータが発表されるとは思えない。CEOのTim Cookは昨年秋、競合のこともあり詳細なデータは明らかにしたくないのだと述べている。Apple Watchの販売データは,Pod、Beatsアクセサリー、Apple TVなどを含む「other products」(その他プロダクト)の欄に混入される見込みで、結局ウェアラブル分野がどの程度貢献しているのかの詳細はわかならないままになりそうだ。今後の動向についてアナリストは、まだまだ「推理」を積み重ねることになっていくのだろう。
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(翻訳:Maeda, H)