スイスのオートメーションとテクノロジーの企業ABBが、Amazon Web Services(AWS)と協力して、企業が保有するEVをクラウドから管理し、それにより今後の全車輌のEV化を早めるためのプラットホームを作ることを発表した。同社によると、そのプラットホームを利用すれば企業は事業を中断することなくEVに切り替えていくことができ、その実際の展開は2021年の後半になるという。
この発表は、近年大手配送企業の多くが全車両のEV化を宣言していることに対応している。AmazonはすでにRivianの電動デリバリーバンをカリフォルニアの路上で運用しており、年内にさらに1万台増やす計画だ。UPSは1万台の電動バンをArrivalに注文し、DHLは保有車輌の20%がすでに電動、そしてFedExは2040年までに全車両を電動化する計画である。McKinseyの2020年の報告書によると、米国の電動車は一般乗用車と商用車を合わせて2030年には800万台になるという。それは2018年にはわずか5千台だった。800万台は全車輌の10ないし15%に相当する。
ABBの電動車部門担当社長Frank Muehlon氏によると、「私たちはEVの採用をもっと容易にし、大量の保有車輌にも対応できるようにしたい。そのためには業界の優れた頭脳を集めて、起業家のようなアプローチで製品開発に取り組むことが必要だ」、という。
この合弁プロジェクトにABBが提供するものは、電動車技術とエネルギー管理、および充電技術における経験だ。それらとAWSのクラウドおよびソフトウェアの技術を組み合わせると、一つの全体的なプラットホームを企業のニーズに合わせて好きなように仕立てることができる。たとえば企業は、充電の計画やEVの保守状態、時間帯や天候や利用のパターンに合わせてのルートの最適化など、必要な部分に焦点を絞ることができる。Muehlon氏によると、今後は顧客と協力して、保有車輌から集めた既存のデータを有効利用し、実装を早めていきたい。
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そのプラットホームはAWSのクラウド上にホスティングされるので、AWSを利用できるところならどこでも柔軟なスケーリングが可能であり、その利用可能域はグローバルで25のリージョンに広がっている。
プラットホームはハードウェアを特定せず、どんなタイプのEVでも充電ステーションでも対応する。ソフトウェアを特定のEV車群に統合する作業は、その車群がアクセスできるサードパーティの資産運用管理システムやオンボードのEVテレマティクスにも依るが、今後はプラットホームが層状の機能集合を採用して、その車輌にもっとも合った、もっとも正確な車輌データを利用できるようになる。Muehlon氏によればその方が、特定のEVモデルと充電インフラにしか対応していない既存のサードパーティ製充電管理ソフトウェア比べて、よりシームレスなインタフェイスを提供できる。
Muehlon氏は曰く、「保有車輌の管理は充電技術の目まぐるしい進歩に対応するだけでなく、車と充電の状態を表すリアルタイムの情報によって充電のインフラストラクチャにもアクセスし、現場で行うメンテナンスのための情報も得なければならない。こういう、これまでなかったリアルタイムの新しいEV車輌管理のソリューションは、電動車の世界に、保有車輌のグローバルな運用企業のための新しいスタンダードをもたらし、運用の改善を実現するだろう」。
このソフトウェアはデポや商用の保有車輌が対象で、また公共施設や公共交通の車輌管理部門でも利用できる。今現在の運用者や顧客についてMuehlon氏は口をつぐむが、今複数のパイロット事業が進行中で、それにより、あらゆる種類の車群に合う、市場性の高いソリューションを開発したい、と言っている。
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: ABB