世界最大のB2B決済とサプライチェーンロジスティクスのプラットホームのひとつである企業のCEOによると、イギリスは今、企業間取引の量の大きな激しい減少を経験しつつある。
スイスのダボスで行われている世界経済フォーラムで、TradeshiftのCEOで協同ファウンダーのChristian Lanngは、本誌のインタビューに応じてこう語った: “すでに数字に表れている。昨年12月には、イギリスにおける購買注文が大きく減少した。とくに小売が激しい。でも、どの分野でもだ。製造業も、小売も、物流も”。
Tradeshiftは、サプライチェーンの決済とマーケットプレースとアプリケーションを提供するクラウドプラットホームで、ヨーロッパのテクノロジー系ユニコーンのひとつであり、これまでに4億3200万ドルあまりの資金を調達している。
Lanngによると、Tradeshiftはイギリスの某大手製造業企業と取引があるが、そこは生産ラインに供給する在庫の量が常時“一時間ぶん”しかない。彼は、その企業の名前を挙げなかった。
Brexit(イギリスのEU離脱)のサプライチェーンへの影響については、彼曰く: “一台のトラックの通関手続きに10分かかるとすると、解決不能の交通渋滞が生ずる。税関通過まで1週間はかかるだろう。工場は止まってしまう”。
“政治の問題ではない。今起きようとしているのは、きわめて技術的な問題だ。この事実を理解しない人が多い。抽象的な議論をするのはいいが、実際に起きるのはこういうことなんだ”。
“海峡をまたぐサプライチェーンの実際と現実を、人びとは忘れている。仕事の現実を知っている者の声を、真剣に聞こうとしない。Brexitがまるで、サーカスが来る来ないのような話題になっている”。
Tradeshiftが最近、クラウド上の企業向けインテグレーションサービスBablewayを買収した件についてLanngは、両社の合体によって“1兆ドル以上の決済を扱うようになる”、と言う。決済の量だけでも、それはPayPalの2倍、Amazonの3倍になる。“世界経済のB2BとB2Cの部分の大きなシェアを、両社が扱うことになるだろう”。
でも、一部の人たちが予言している世界経済の減速は訪れるのだろうか? “われわれの見方はかなり単純だ。テクノロジーの分野では、ヘルスケアも、再生可能エネルギーも、電気自動車も、AIも金融サービスも、すべて中国の動きが激しい。2025年ごろには、Made in Chinaが世界のトップになるだろう”。
“西欧は、世界のリーダーシップを失いつつある。電動車でも再生可能エネルギーでも、われわれは出遅れている。中国の技術はヒッピーと馬鹿にされていたが、今それは世界の未来だ。中国に対して、関税という武器は通用しない。うちはむしろ、アジアに倍賭けしている。テクノロジー重視の国なら、どの国でも重要だからね”。