BadVRは政府の助成金によりベンチャーキャピタルから独立したビジネスを構築

ロサンゼルスに本拠を置き、VRやARなどのXR(エクステンデッドリアリティ)データの可視化に取り組むBadVRは、同社の初期の恩人の1社であるMagic Leapが1000人の雇用を削減しようとし、生き残りを賭けて戦っている(未訳記事)と最初に聞いたとき、動揺はしていなかった。

プラットフォーム上の法人アプリケーションの1つとしてBadVRとMagic Leapの結びつきは広く知られていた。だがBadVRは他の企業に比べ、消費者向けアプリとして様々な企業の中心にいたMagic Leapから離れた位置にいた。

最初のステップは、米政府の給与保護プログラムから資金を調達(未訳記事)し、多額の資本により従業員数を維持することだった。同社は最終的に、米国立科学財団(NSF)から100万ドル(約1億300万円)の助成金のかたちで何とか追加の資金を確保した。

これは同社がNSFから得た2番目の助成金であり、同社が政府からの資金に頼り、ベンチャーキャピタルからの資金調達にあるいくつかの落とし穴を回避する方法の一例だ。

確かにMagic Leapが崩壊の瀬戸際にまで行き着いたとしても、BadVRへの悪影響は限られていたと思われる。BadVRはXRデバイスの法人向けアプリケーションを開発している。

Magic Leapのストーリーが示すのは、企業が何かの実現のためにベンチャーキャピタルを利用する必要はないということだ。実際、設備のコストが下がり、エンジニアリング人材がまだ豊富に存在する国へのアクセスがリモートワークによって自由になるにつれ、倹約志向のスタートアップは政府の資金や企業のイノベーション助成金から必要な資金を得ることができるようになった。

BadVRが調達した350万ドル(約3億6000万円)のほとんどはそうした方法によって獲得した。少なくとも125万ドル(約1億3000万円)は、中小企業技術革新制度の資金支援プログラムを通じて国立科学財団との2つの協力協定のかたちで政府から得たものだ。

Magic Leap Oneのヘッドセット用に開発されたBadVRの気候変動アプリケーションのヘッドセットからのイメージ(画像クレジット:BadVR)

BadVRは、仮想現実(VR)および拡張現実(AR)ツールを使用して、さまざまな政府および商用アプリケーションの地理空間データを可視化する。同社の技術は、5Gネットワ​​ークの計画と展開の加速のために大手通信会社によってすでに利用されている。また公安部門では、同社の技術をファーストレスポンダー(第一対応者)の状況認識改善とトレーニング、人員配置、運用のコスト削減のために使用している。

「社会はデータの力とそれが私たちの日常生活に与える影響に気づき始めました。テクノロジーに関するスキルのレベルや経歴に関係なく、すべての組織がデータに簡単にアクセスできることが非常に重要です」と、BadVRの創業者で最高経営責任者を務めるSuzanne Borders(スザンヌ・ボーダーズ)氏は声明で述べた。

ボーダーズ氏にとって政府の資金を活用する鍵は、適切な事前の計画に尽きる。「資金の獲得には長い時間がかかります」と同氏はいう。「付与される時点ですでに1年は頑張っているでしょう。私たちが得た助成金は約1年前に取得を計画していたことの証です」。

こうした助成金は通常マイルストーンベースであり、BadVRが目標を達成する限り資金はほぼ保証されている。

「NSFは、漸進的な開発の先を考え、また科学と工学のすべての市場と分野にわたり最も創造的で影響力のあるアイデアに資金を提供することにより、未来の技術を支援できることを誇りに思っています」と、NSFの産業イノベーションおよびパートナーシップ部門の部門ディレクターであるAndrea Belz(アンドレア・ベルツ)氏は語る。「私たちが研究の資金支援を行うことにより、あらゆるディープテクノロジーに携わるスタートアップや中小企業は、基礎科学を非常に大きなニーズがある、意味のあるソリューションに発展させることができます」。

BadVRは政府の他のコンペからも追加で非希薄性のキャッシュを得て、新しい性能を素早く開発する機会を提供された。

BadVRの拡張現実地理空間データ環境の画像。ユーザーは環境に関するオーバーレイにより複数のライブデータセットと履歴データセットを可視化できる(画像クレジット:BadVR)

これがBadVRの拡張現実オペレーションセンター(AROC)の推進力になった。AROCはファーストレスポンダーのデータを可視化する新しいメニューだ。同社は米国立標準技術研究所が提示した課題を通じて、モンタナ州ユーレカの消防署との協力により特定の緊急事態のためのプロトタイプを開発することができた。

このようにしてBadVRが開発した初期のプロダクトは進化していった。このプロダクトで企業は、バーチャルリアリティー上に工場や店舗のデジタルツインを作り、さまざまな条件を調べるウォークスルーを実施できる。

BadVRの可視化作業は必ずしもすべての地理空間であるとは限らない。同社はあらゆる種類のデータを取得し、それをデータが見やすい環境に統合することができる。ボーダーズ氏は、同社のサービスが企業のためのあらゆる種類のコラボレーション環境の作成にまで及ぶと考えている。

「このシステムは見ることが重要性をもつものに光を当てます」とボーダーズ氏はいう。「データの可視化エクスペリエンスを仮想化し、没入型の環境へ導入します。そしてエクスペリエンスの中でもコラボレーションの側面を開発しています」。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより全米の企業がバーチャルのオペレーションを余儀なくされたため、ボーダーズ氏はこの種の需要があると述べた。同氏の会社が政府の支援を受けて開発するプロダクトは増え続けている。

「リモートコラボレーションツールの需要が高まったためです」とボーダーズ氏はいう。「私たちは人間への関心を幅広く高めてきましたが、リモートコラボレーション機能を備え人々が1つの没入型データエクスペリエンスにより協力できるツールが離陸しつつあります」。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:BadVR助成金

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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