BlackBerryのQNX部門は、このカナダの企業の希少な明るい材料だ。このソフトウェア制作部門が作っているオペレーティングシステムQNXは、多くの自動車メーカーが車載インフォテインメントシステムの中核として採用している。BlackBerryによると、現在、6000万台あまりの自動車の上でQNXが動いており、そして今度からそれは、Fordのインターネット接続車にとって、さらに重要な存在になる。
FordとBlackBerryがこのほど署名した協定によると、FordはBlackBerryのQNXとセキュリティソフトウェアの、インターネット接続車における利用を拡大する。それまでFordは、車載インフォテインメントシステムSYNC 3のOSとしてQNXを使用し、広く欠陥が批判されているMicrosoftの最初のSyncとその後継システムをはねつけていた。
BlackBerryによると、同社は今後、Ford専任チームを設けて、FordによるQNXの多方面的利用を支えていく。ただしその具体的な内容や費用等は、非公開だ。
この契約により、少なくともFordとQNXは直接的な関係になり、あいだに入る業者等はありえなくなる。これでBlackBerryはFordの第一層サプライヤーになるが、それまでは直接ではなく、Fordに納めている機器等のメーカー、たとえばPanasonicなどが、相手だった。
プレスリリースは自動運転車には触れていないが、QNXのソフトウェアは自動運転車への適合条件をクリアしている。そしてFordは自動運転技術の追究に熱心だ。だからBlackBerryのソフトウェア(QNXほか)がそれらの計画に関与することも、十分ありえる。