IFTTTというWebサービスは、レシピと呼ばれるプログラムに基づいて複数のWebアプリケーション間の動的関係を自動化する。たとえば「もしもFoursquareでチェックインしたら、Facebookのステータスをアップデートせよ」、なんて。なかなか便利なサービスなので、ファンやマニアも多い。
でも、難しいプログラムを書かないと人生が快適にならないのはいや、という方のためには、Webサービスではなく、bttnという名のハードウェアがある。これは、すでに用意されているいくつかのレシピに基づいて、画面上のボタンではなく、実物のボタンを押すとアクションが実行される(上図)。
今日(米国時間5/27)、69ユーロで予約受付を開始したbttnは、インターネットに接続された物理的なボタンで、そのボタンが何をトリガするかによって、実際に起きるアクションが決まる。あなたが設定した条件に基づいて実際にアクションを実行するのは、フィンランドのThe Button Corporationのサーバだ。あなたはこのサーバに、SMSや携帯/スマートフォンやWiFiなどで指示を送る。ボタンの電源は、電池またはUSBケーブルだ。サーバにあなたが送る指示(コマンド)は、ブラウザ上でカスタマイズできる。
では、一体、何をカスタマイズできるのか?
サーバは、bttnが押されたときに起きるさまざまなアクションを提供する。それらのアクションはユーザが構成可能である。シンプルなウィザードを使ってさまざまなインターネット技術…HTTP、RSS、IFTTT、SmartThings、Twitter、Facebook、メール、SMSなどなど…を利用できる。われわれはたえず、これらの選択肢の増加に努めている。
使い方の例としては、子どもが帰宅してbttnを押すと、帰ったよというSMSが親に送られる(自分の携帯を使わないですむ)、というのがわかりやすいだろう。あるいは、高齢者が、気分が悪くなったときにbttnを押すとSMSが送信され、介護者が来てくれる、というシナリオもありえる。逆に、今日はなんでも自分でできたから、来なくてよいよ、というメッセージでもよい。
ボタンを押したあとでbttnのグリーンのLEDが点灯したら、コマンドが正常に実行された、を意味する。黄色なら、“待機中”、赤は“エラー”だ。
このLEDライトを、ユーザへのプロンプト(“ボタンを押せ!”)として利用することもできる。たとえば、ゆっくり点滅したら“押してね”、急速に点滅したら“大至急押して!”の意味にするとか。高齢者などの場合は、決められた時刻にボタンが押されなかったらプロンプトを点滅させる、という使い方がよいだろう。
このプロンプト機能は、家庭内で一定時間ごとに薬を服む/服ませる、とか、高齢者の無事を確認する、という使い方ができる。bttnのファウンダHarri Rautioの最初の発想が、後者だった。
コマンド実行のフィードバックとプロンプト機能は今後、ライトの色や点滅だけでなく、音声の利用も考えている。コマンドをサーバに送ることも、音声でできるようにしたい、という。
IFTTTに対しては、bttnの作者たちは、あくまでも補完的な位置づけだ、と考えている。とりわけ、コンピュータやスマートフォンなどがない、あるいは使えない場面では、bttnが重宝するだろう、と。もちろん、さっさと用をすませたい、いちいちコンピュータやアプリを立ち上げるのは面倒、という場面もありうる。
他製品との競合については、同社はこう言っている: “単一目的のレガシーな製品やサービスが数多くある。たとえば子どもや高齢者の連絡用、など。でもそれらの多くは供用範囲がローカルだ。bttnは多目的に利用でき、インターネットのおかげで供用範囲はグローバルだ”。
“多目的でグローバルといえば、IFTTTなども競合相手になるかもしれないけど、実際にはこれらは、競合というよりも相補的な関係にある。うちのような物理的なボタンでなく、画面上の仮想ボタンを押す類似サービスも、すでにいろいろある”。
“bttnの、他にない抜きん出た特長は、非常にシンプルで使いやすいこと、自由度、低価格、クライアント側にコンピュータやスマホなどが要らないこと、そして、パートナーが自己ブランドでデバイスとサービスを提供できることだ”。
というわけで、同社がメインの収益源と考えているのは、あくまでもb2bの市場だ。もちろん最初の立ちあげ時には、ハードウェアマニアのような個人にも、一回かぎりの低額料金で提供されるのだが。
b2bの例として同社はすでに、フィンランドのタクシー/マイクロバスサービスの大手Kajon Oyを顧客にしている。bttnを、レストランやホテルなど、町のあちこちに置くことによって、タクシー等の利用者を増やすとともに、“毎回いちいちタクシー会社に電話をする”というお客さん側の手間も省くのだ。
またもうひとつの顧客、映画館チェーンのFinnkinoでは、館内の随所にbttnを置いて、来館者サービスを充実させている。
同社は2013年9月に創業され、今年の初めまで、一定の顧客とベータのユーザグループにサービスを提供していた。資金はすでに、SuperCellの発明者Jari Ovaskainenやフィンランド政府のテクノロジ企業育成ファンドTekesから得ている。これまでの調達総額は100万ユーロ弱だ。
同社のb2bを中心とするビジネスモデルは、月額の料金制だ。企業パートナーの方が、個人ユーザよりもお金を払いやすいのである。でも今回の予約受付に応じた初期ユーザは、無料で利用できる。彼らの手に製品が届くのは、10月の予定だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))