eコマースの天才でD2Cの希望の星であるCasperがIPOを申請した。Crunchbaseデータによると、ニューヨーク拠点の同社は、上場前に3億4000万ドル(約373億円)近くを調達しており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)でティッカーシンボル「CSPR」取引される予定だ。同社のS-1申請資料には、調達可能金額のプレースホルダーには1億ドルという数字が書かれている。
同社は今後資金が必要になる、なぜなら損失を出し現金を燃焼しているからだ。マットレス会社がどうやってそんな状態にあるかを詳しくみてみよう。
成長と損失
2017年の年間売上は2億5090万ドル(約275億円)で、正味4570万ドル(約50億円)の「返金、返品、ディスカウント」、2018年は3億5790ドル(約330億円)で、同8070万ドル(約88億4700万円)だった。これは年間成長率42.6%に当たる。その2年間に、Casperはそれぞれ7340万ドル(約80億4660万円)と9210万ドル(約101億円)の純損失を出した。
Casperの2019年の最初の3四半期の売上は3億1230万ドルで、「返金、返品、ディスカウント」が正味8010万ドル。2018年同期間の2億5970万ドル、5770万ドルより20%強上昇した。
同社の3四半期間の純損失は2018年の6420万ドルから2019年は6740万ドルに増えた。同社の純損失は一般に、成長が減速するにつれて上昇している(ただし2019年は現時点までゆっくりと)。
対照的に、会社にとって朗報なのは営業キャッシュ消費が減速していることだ。暦年2017年の8400万ドルから2018年は7230万ドルへと減少し、2019年最初の3四半期では2970万ドルと前年同時期の4490万ドルから減らしている。
しかし同社の成長の遅さと、標準会計原則(GAAP)で見た継続的な損失は会社評価額を損ないかねない。Casperの直近の調達ラウンドでの評価は11億ドルだった。
同社の粗利益は、2019年最初の9カ月は49.6%で非ソフトウェア会社としては悪くないが、2019年は粗利益の73%以上を営業およびマーケティングに費やした。この数字はCasperが成長のために大きく投資していることを表しており、その成長は現時点まで20%と報告されている。
同社は今後そのための出費を大きく増やすことができないことから、今後も成長が抑えられることを示唆している。そうなると出てくる疑問は、成長が遅く、継続的売上がなく、GAAP損失が続く会社の価値とはいったい何かということだ。
同社の調整済みEBITDA(ビックリハウスのゆがんだ鏡に似た偽善的な収益指標)もさほど良いわけではなく、Casperの最初の3四半期損失は2018年がマイナス5750万ドル、2019年がマイナス5380万ドルとわずかに改善されるだけだ。
投資家
Casperは、IVP、Lerer Hippeau、Target、およびNew Enterprise Associatesから資金を調達している。2014年にシリーズAラウンドでシード資金を調達した。過去の記録を見ると、LererとNEAが最も積極的に投資していた。2015年にさらに5500万ドルを、2017年中頃にははるかに多額の1億7000万ドルを調達した。2019年の1億ドルのラウンドは、2020年のIPOに向けて実施された。
この会社のIPOは、値付けの問題だ。そしてそれはCasperと直接競合していたり、Casperに似たビジネスの異なる分野で運営している多くのスタートアップに影響を与える問題でもある。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )