CES 2022のビッグニュース

バーチャルであれ、対面であれ、あるいはそのミックスであれ、CESは怪物のような存在だ。展示会から洪水のようなニュースすべてに、どうしたらついていけるだろうか?無理だろう、本当に。大手メディアは、CESの報道を少人数で行い、その表面だけを取り上げている。

そのことを念頭において、CES 2022が終わった今、「今週のトップ記事」のようなもので、私たちが気づいたトレンドや、気に入った製品を取り上げた小さなまとめ記事が有意義ではないかと考えた。もちろん網羅的なものではないが、最近忙しくてそれどころじゃなかった方でも、ショーの雰囲気を感じていただけるだろう。

トップストーリー

TechCrunchは、CESの記事を山のように掲載した。そのすべてを読めない方のために、多くの方が読んでシェアした記事をご紹介しよう。

画像クレジット:BMW

BMW、ボタン1つで色が変わるクルマをCESで披露

まるでSF映画のようだ。ボタンを押すと、クルマの色が変わる。Eインクの技術をKindleの画面のように利用して、黒と白とグレーの濃淡にしか変わらないが、それでもすごい。予約ページを探しても無駄だ。現在は、デモのみである。

画像クレジット:NVIDIA

NVIDIAが249ドルのGeForce RTX 3050を発売

暗号資産の採掘者や転売屋、そして半導体不足という問題を抱えて、よほど大金を払える人でないかぎり良いグラフィックカードの入手は困難になっている。そのため、すごいカードが低価格で入手できるというニュースに多くの人が集まったのも当然だ。ただし転売屋も当然、狙うだろう。

画像クレジット:NVIDIA

NVIDIAがAT&Tやサムスンとの提携によりGeForce NOWクラウドゲーミングのリーチを拡大

新しいゲーム、AT&Tの顧客の一部に無料サブスク、そしてSamsungのテレビに統合する計画など、NVIDIAは、同社のゲームストリーミングサービスGeForce Nowに良いニュースがあった。

トップニュースには入らなかったが、Omniverseの技術をより多くのクリエイターに開放するという発表も注目を集めた。

画像クレジット:Daan Tech

小さな節水型の皿洗い機Bobには抗菌力もある

皿洗い機が欲しいけどスペースがない、戸棚を壊したくない、水道工事が面倒などと考えている人にとって、Bobならカウンターにも載るし、水は水差しで入れられる。しかも、水を使わないUVCモード(短波長紫外線による除菌)は、スマートフォンや鍵などの消毒にも使える。それに、とってもカワイイ。

画像クレジット:Scanbo

あなたの血はどれくらい甘い?Scanboは体を傷つけずに血糖値を測定する

「あなたの血はどれくらい甘い?」なんて、TechCrunchライターのHaje Jan Kampsはいかにも彼らしいタイトルを書いた。まだ若いAI企業であるScanboは、痛くて疲れるし、いつまでも終わらない指刺し検査が不要な血糖値測定を目指している。

画像クレジット:Sony

ソニーがPS5向け次世代ヘッドセットPSVR2の情報を初公開

Sony(ソニー)がPS5用の新しいVRヘッドセットを開発していることは以前から知られていたが、CESではもっとたくさんのことがわかった。名称が「PSVR2」であり、ディスプレイがより改良されていてフォービエイテッド・レンダリングをサポートすることなどが明らかになった。

画像クレジット:GAF Energy

GAF Energyのソーラー屋根板の設置は専門チーム不要、テスラや他社製品の凌駕を目指す

「屋根素材の世界的大手企業の子会社であるGAF Energyは「同社新製品であるソーラー屋根板は極めてシンプルで、専門的な機器や知識が不要であるため再生可能エネルギーの家庭への導入がとても簡単に行える」とDevin Coldeweyはまとめている。

画像クレジット:Brian Heater

AirPodsを収納できるiPhone用バッテリーケース「Power1」

余計なモノを持ち運ぶより、いっそAirPodsをiPhoneに収めてしまいたいと思ったことのある人。このケースはそれを可能にする。TechCrunchのBrian Heaterは、ハンズオンのレビュー記事を書いている。

画像クレジット:Hyundai

現代自動車、メタバースにボストンダイナミクスのロボット「Spot」を送り込む

「ロボットをメタバースに接続して、我々はリアルとバーチャルの世界を自由に行き来できる」というHyundai Motor GroupのChang Song(チャン・ソン)社長の言葉は刺激的だ。ロボットのアバターになって火星旅行をすることが、未来のある日、当たり前のことになるのだろうか?

画像クレジット:Sony

ソニーがSUVの新型「VISION-S 02」披露、電気自動車会社「ソニーモビリティ」設立を発表

ソニーは数年前から自動車の実験をしてきたが、ここ2回のCESでプロトタイプを披露した。そして今回は、ソニーモビリティという新会社の設立を発表した。どうやってEVを商用化するのか、少しわかってきた。

トレンド

画像クレジット:Schlage / Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt

CES 2022でスマートホームデバイスの接続規格「Matter」に注目が集まっている理由

スマートホームデバイスはすばらしいものだ、ちゃんと動けば。ほとんどの人は、何と何が一緒に動くかを理解するだけでも大変なことだ。大手テクノロジー企業(Apple、Amazon、Googleなど)が一緒になって、Matterというプロトコルを作った。そしてTechCrunchのライターChristine Hallが、その現状を解説している。

画像クレジット:Yukai Engineering

ロボットのロールアウト

もうすぐ、ロボットのRosie(ロージー)がうちにも来るのかな?それとも、円盤型のロボット掃除機が私たちの靴下を食べることを、永遠に我慢するのか?先のActuatorニュースレターでBrian Heaterがコンシューマーロボティクスの現状を一望し、これまでの推移を語っている。しかも今では、なぜかあなたの指を噛むロボットの猫もいるんだ。

画像クレジット:Blink Charging

EV充電企業が家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

電気自動車はこのところ大きく扱われがちだが、そいつをつないでジュース(電気)をもらうための箱(充電器)はどうなんだ?この分野も競争が激化しており、各社の方法をRebecca Bellanがレポートしている。

画像クレジット:Cake

CES 2022に出展された電動自転車や電動スクーターは、よりパワフルに、よりスマートに

電動自転車やスクーターに、やれることはまだ残っているだろうか?自分のおしゃれな電動スクーターを、どうやって差別化すればいいのだ?TechCrunchのモビリティチームが、CES 2022のマイクロビークル関連のニュースをすべて教えてくれる。

画像クレジット:wacomka/GettyImages

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

特定のヘッドセットや大ヒットアプリがVRを一夜にしてすべてに普及してしまうのではなくて、これまでは漸進的な進歩だった。そして2022年のCESは、その歩みをさらに数歩進めた。

画像クレジット:Samsung

メタバースはメタバースをメタバースした

メタバース?メタバース!「メタバース」は、2022年のCESで最もバズった言葉だ。一部の企業の使い方は、まぁヘンだったけど。

画像クレジット:TP-Link

ガジェットもいっぱい

対象が電子製品だけじゃなくなっている現在のCESは、主催者もそれを「消費者向け電子製品ショー」(Consumer Electronics Show)と呼びたくないかもしれない。しかしそれでも、CESは相変わらず膨大な数の珍にして妙なるからくりが展示されていた。Brian Heaterは、その中からおもしろいものを厳選している。

画像クレジット:Yukai Engineering / BOCCO emo robot

高齢者に役立つテクノロジーはすべての人の役に立つ

そうじゃないふりをしていても、私たちはみんな歳をとる。インターネットを気軽に使えることを人類史上初めて知った世代が高齢化する。どうすればテクノロジーは、高齢者が快適に暮らせるサポートができるだろうか?Catherine Shuが、ロボットから小さな電球にまで、エルダーテック(高齢者テクノロジー)の現状を総括した。

私たちの個人的お気に入り

先週、私たちの脳がCES漬けになってしまった。しかもCESチームには、7、8回経験した者のいる。そんな私たちの心に、響いたものは何だろう?以下は、印象を深いものたちだ。

John Deereの自走トラクター

米国の農業者の平均年齢は57.5歳だ。農業は体にこたえる労働集約的な産業であり、最近さらに従事者が足りなくなっている。しかしながら農業は、自動化に最も適した産業の1つであり、John Deereは農業の自動化を完成すべく長年努力してきた。年内に米国市場で発売される8Rは、同社の人気トラクター系列に、完全な自動運転を導入する。現在、さまざまな機能を実装中だ。

— Brian Heater

メルセデス・ベンツが描く未来像

これは、決して日の目を見ることのない、単なるコンセプトカーではない。Mercedesは同社R&D部門のF1とフォーミュラEチームの高い技術力で、2024年以降の未来の車種で姿を現す先進的な部位を開発した。

注目すべきは、電池のエネルギー密度を向上させるために、陽極の化学的性質を「大きく進歩」させたことだ。この陽極は、ケイ素の含有量が高く、一般的に使用されている陽極よりもかなり多くのエネルギーを保持できる高度な組成になっている。つまり、より多くの航続距離をより小さなパッケージに詰め込まれている。2024年にはさらにバッテリーシステムに給電する超薄型ルーフパネルが導入され、航続距離の航続距離をさらに伸ばす。

— Kirsten Korosec

BMWの色が変わるコンセプトカー

BMWの色が変わるクルマを、すぐにでも買える人はいないと思うし、実用性もあまりない。スーパーの買い物でいっぱいになったカートを横からぶつけられたら、ドアパネルの修理代にいくらかかるだろう。でもリアルのCESで不満なのは、ばかばかしいものが1つもなかったことだ。しかし「技術を誇示するだけのために作ったもの」。そんなものが、たった1つだけ今回はあった。

— Greg Kumparak

介助ロボットを一般家庭へ

ロボットには、あれもできる、これもできるといった話が多い。しかし、最も人の役に立つロボットは、人間のかたちをしていない。

むしろ彼らは、Labradorのような形状をしているだろう。Labradorは要するに動き回るテーブルで、高齢者や日常動作が不自由な人を助ける。皿や飲み物をキッチンから食卓に運んだり、洗濯物かごの中身を洗濯機までもっていくといった作業をしてくれる。音声コントロールができるため、「寝室で待ってて」とか「私のそばにきて」と操作できる。多くの人の生活が楽にしてくれるはずで、私がロボット分野でもっとたくさん見たいと思っている種類もこれになる。

— Devin Coldewey

スマートホームデバイスの接続規格「Matter」

CESのスマートホームデバイスでおもしろかったのは、Mui LabsのMatter対応「muiPlatform」だ。それは、スマートホームデバイスを「もっと静かな」ものに変える。

家庭で次々とデバイスが増えると、家具の上やまわりが散らかってくる。Mui Labsでは、ミニマリストの生活ができるだけでなく、Amazon Alexaにビジュアルのインターフェースを付けて、それをまるで壁の美術作品のようにしてしまう。

— Christine Hall

節水型の抗菌皿洗い機Bob(未訳)

私にとってCESで関心があったものは、資源の有効利用に関する技術だ。特にカリフォルニアは今、慢性の干ばつであるためBobに目がいった。

Bobは、1人か2人世帯用の小さな皿洗い機で、手で皿を洗うよりも水の使用量が大幅に少ない。UV(紫外線)モードというのがあり、水を使わずにいろいろなものを清潔にできる。

— Haje Jan Kamps

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。