Checkout.comは個人・企業向けネット決済のStripeと何が違うのか?

Checkout.comは長年知名度が低いままだったが、同社はこの1年で3億8000万ドル(約400億円)を調達(未訳記事)し、55億ドル(約5750億円)という驚異的な評価額に達した。同社は、取引の受け入れ、処理、不正行為の検出など、支払いに関連するすべてのことをワンストップで行えるショップを構築したい考えている。

同社の事業は、個人向けの決済プラットフォームであるStripe(ストライプ)に少し似ていると思うかもしれない。TechCrunch Disruptのインタビューで、Checkout.comの創業者兼CEOであるGuillaume Pousaz(ギヨーム・ポサーズ)氏に、Stripeやオランダ拠点のAdyen(アディエン)、そのほかの決済分野の企業と何が違うのかを尋ねた。すると、製品と市場へのアプローチに関しては、非常に異なる哲学に起因していることがわかった。

ポサーズ氏はまず「私たちはエンタープライズのみを扱っています。私たちは大手企業としか仕事をしていません。いくつかの例外はありますが、ほとんどが大手のみで、純粋にオンラインです」と説明する。

「私はかつて、StripeのCEOであるPatrick Collison(パトリック・コリソン)に会い、彼と冗談を言ったことがあります。私は『あなたは100万人の利用者を抱えているかもしれない。私は1200人の利用者を抱えていて、一人一人の名前を知っているし、彼らはみな毎年何千万ドルもの処理をしている』と言いました。だから、これは違うビジネスだと思います」とインタビューの後半で付け加えた。

Checkout.comは現在、銀行口座に大金を蓄えているが、そのレベルに到達するまでには長くてゆっくりとした道のりだった。同社は何年も前から存在しており、2012年には黒字化を達成。長年にわたって非常に慎重に運営してきたのだ。

会社の初期の頃の話をするとポサーズ氏は「チームは本当にゆっくりと成長していました」と振り返った。「今月1人の従業員を雇えますが、2人の従業員を雇うこともできます」と続ける。

現在でも同社は、可能な限りスリムな状態を維持しようとしている。「これは本当に規律の問題です。これらの企業はみな多額の資金を調達し、多額の資金を使います。私はこのモデルは正しいと思っています。私たちにとって、その規律と倹約を会社の運営に組み込むことは重要なことなのです」とポサーズ氏。

「資金を使っても問題ありません。ただ、資金を使うときには、それが賢明であることを確認しましょう。数打ちゃ当たるわけではありまえん。残念なことに、これはテクノロジー企業で多く見られるのです」と続ける。

Checkout.comが自社製品に投資しているのはそのためだ。同社の3分の2近くのスタッフが製品、IT、エンジニアリングに従事している。営業部門で働いているのはわずか13%で、これは競合他社と比べてもかなり少ない。

しかしなぜ同社は当時、何億ドルもの資金を調達できたのだろうか?「ある時点では検証が必要です。そして、その検証は私たちにとって本当に重要でした。Insight、DST、Coatue、GIC、Blossomがあれば、次元が変わります」とポサーズ氏は語る。

Checkout.comは各国の規制について、ブラジル、英国、フランス(不測の事態に備えて)、香港、シンガポールなどでライセンスを取得している。現在、日本など他の主要市場でもライセンスの取得を進めており、このプロセスは今後も続行される予定だ。

「規制当局は審査を非常に徹底している。あなたはいい人だから合格するのではなく、正しいプロセスを持っているから合格するのです」と同氏。

私はその考えに異議を唱え、Wirecardの破綻に言及したところ、同氏は「WirecardとCheckout.comは明らかに今は違う立場にいる」と考えていると述べた。

「私のお金はすべてJPモルガンに預けられている、それは非常に単純なことだ。フィリピンには銀行口座もないし、おかしなことになっている」とポサーズ氏。「Wirecardの話はとても大きいので、本当の問題を知るには監査人に質問するしかありせん。なぜなら、私が担当している監査法人(PwC)は、私に銀行取引明細書とすべてを見せるように要求します。調査は非常に徹底しており、非常に長いプロセスです」と説明した。「Wirecardがなぜ破綻しかかって?それはわからない」と彼は付け加えた。
画像クレジット:Daniel Acker / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)