米国時間4月9日、米国サンフランシスコのモスコーニ・センターでオープンしたCloud Next 19カンファレンスで、Google(グーグル)はオープンソースのデータマネジメントとアナリティクスのトップ企業多数と提携したことを発表した。
これらの企業はプロダクトをGoogle Cloudプラットフォームに統合させ、マネージドサービスとして顧客に提供する。パートナー企業には、Confluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsが含まれる。
Googleによれば、 この試みはGoogle Cloudを通じてユーザーにオープンソースのテクノロジーをシームレスなクラウド体験として提供するものだという。しかしカンファレンスの内容を見ていくと、Googleは明言こそしていないが、意図するところははるかに大きい。今回、オープンソース・コンピューティングをめぐるGoogleの方向はAmazonとまったく異なることが鮮明になった。
AmazonのAWSクラウドは最良のオープンソースプロジェクトを取り上げ、独自のプロダクトにフォークさせてAWSブランドのパッケージとして提供していることが広く知られている。この際AWSはオリジナルのオープンソースプロジェクトに対してほとんど何も貢献しないのが普通だ。AWSのこの方式には変化の兆しが見えるものの、こうした姿勢に反発した有力なオープンソースプロジェクトのいくつはオープンソースライセンスの条項を改正してAWSのタダ乗りを防ごうとし始めている。
そしてここが興味ある点となる。このオープンソースコンピューティングのトップ企業というのがまさに、Confluent,、Elastic、MongoDB,、Neo4j、Redis Labsなど今回Googleクラウドと提携した会社なのだ。ただし、今日の提携企業のうち、InfluxDataはライセンス条項の改正を行っておらず DataStaxはたしかにオープンソーステクノロジーにも力をいれているものの、独自のエンタープライズアプリケーションも提供している。
プレス発表でGoogle Cloudのインフラ提携担当の責任者、Manvinder Singh氏は次のように述べている。
オープンソーステクノロジーをクラウドサービスでどのように利用するのが最適か、多くの議論がおこなわれてきたことはよく知られている。Kubernetes、TensorFlow、Goなどのプロジェクトによって証明されてきたように、オープンソースモデルこそはGoogleのDNAであり信念だ。多大のリソースをオープンソーステクノロジーを進歩させるために投じてきた企業同志が密接に協力することが最も重要だとわれわれは確信している。
簡単にいえば、AWSはオープンソースプロジェクトを利用して独自のブランドのプロダクトを作っている。これに対してGoogleはオープンソースプロジェクトを開発してきた企業と提携し協力していく道を選んだ。Googleも提携企業も財務面の詳細に関してはコメントを避けたが、売上の共有、配分に関してなんらかの取り決めが行われたものと推定される。【略】
提供されるプロダクトの機能に関するGoogleの基本方針は、Cloud Consoleへの密接な統合の実現だ。これはMicrosoftのAzureクラウドにおけるDatabricksと比較できるかもしれない。提携各社のプロダクトはマネージドサービスとして提供される。つまりGoogle Cloudが料金の積算、請求、支払などの事務を一括して引き受ける。カスタマーサポートもGoogleが窓口となるため、ユーザーは多数のオープンソースサービスをあたかも単一のサービスのように利用することができる。
Redis Labsの共同ファウンダー、CEOのOfer Bengal氏はこの点についてこう述べた。
今回の提携でRedis LabsとGoogle Cloudはオープンソースによるイノベーションの成果をエンタープライズユーザーに提供できるようになった。ユーザーはクラウド上でどんなテクノロジーを利用してコンピューティングを行うか自由に選択できる。また必要に応じてRedis Enterpriseを利用して独自のアプリケーション開発を行い、GCP(Google Cloudプラットフォーム)上でマネージドサービスとして利用することもできる。例えば、Redis EnterpriseをGCPコンソールから実行することも可能だ。この場合、料金処理からプロビジョニング、サポートまですべての煩雑な業務をGCPが処理してくれる。
【日本版】GoogleはYouTubeでカンファレンスのキーノートを中継録画している。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook)