ソーシャルオーディオアプリの「Clubhouse」(クラブハウス)は、先月Android(アンドロイド)ソフトウェア開発者を採用したことに続き、期待されているAndroid版のリリース時期を発表した。Clubhouseの共同創業者であるPaul Davison(ポール・デイヴィソン)氏が、米国時間3月21日に行われたタウンホール(Townhall)イベントで、同社はAndroidに参入するために「真剣かつ懸命に」努力しているが、その実現には「2、3ヵ月かかる」と発言したのだ。すなわちその時期は、2021年の晩春から初夏にかけてになると思われる。
Clubhouseは1月下旬のブログで、Android版の開発を「すぐに」開始すると述べていたが、そのバージョンを公開できる時期についてはまだ何も約束していなかった。時期を述べる代わりに、Androidに関する発言のほとんどは、Androidユーザーをサポートすることの重要性や、自社アプリをより多くの顧客に利用してもらえるようにするといった、曖昧な表現になっていた。
一方、Clubhouseの最大のライバルであるTwitter Spaces(ツイッター・スペース)は、Clubhouseの遅れに乗じて、かなりの数のAndroidユーザーも含むかたちで、プラットフォームを横断し多くの人に急速に展開を行っている。例えば2021年3月にはTwitter SpacesはAndroidのユーザーにも開放され(ルームの作成は一部のユーザーに限られている)、Androidユーザーなら誰でもライブオーディオルームに参加して会話をすることができるようになった。その直後にTwitterは、2021年4月にはTwitter Spacesを一般公開する予定であると発表した。Clubhouseが開発を加速し、今後数週間のうちに招待制を解除しない限り、Twitter SpacesがClubhouseを大きく先行することになる。
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3月21日に開催されたClubhouseタウンホールでは、共同創業者のデイヴィソン氏が、Androidユーザーが参加するような大きな市場にスケールアップするための同社のアプローチについて、より多くのユーザーにアクセスを開放するためには、ゆっくりとしたペースが必要であると説明した。そしてClubhouseが成長するときには、その結果アプリ内での発見体験に悪影響が及ぶ可能性があると指摘した。例えば最近のユーザーは、フィードに外国語のグループが多く表示されるようになって、友人たちや一部の優れたコンテンツを見つけるのに苦労しているという。
こうした課題に対処するため、Clubhouseはいくつかの変更を予定している。その中には、アプリのアクティビティフィードの調整、ユーザーがプッシュ通知をより制御できるようにするツール、アプリを最初に開いたときに画面に個人向けおすすめのroomのリストを表示するといったパーソナライズ機能の提供などがある。同社はこのような改善が、たとえClubhouseアプリがより多くのユーザーに向けて拡大できた場合にも、成功するためには必要だと考えている。
一方で、Clubhouseの招待制を止めることについてデイヴィソン氏は「今後数カ月のうちに」と話している。彼は「他の場所では視聴者を獲得されているのに、Clubhouseにはまだ登録なさっていない、すばらしいクリエイターの方ががたくさんいらっしゃる」ことから、アプリを誰にでも開放したいと考えている。
「誰にでも開放することが、とても重要になってきます」とデイヴィソン氏はいう。「Androidは本当に重要なものになるでしょう。ローカライズが非常に重要になるのは明らかです」。そして、Clubhouseをより利用しやすくすることも重要だったと彼はいう。
ClubhouseのAndroid版がないことで、同社はすでにいくつかの複雑な問題を抱えている。
多くのAndroidアプリ開発者が、市場に空いた穴を利用して独自の「Clubhouseガイド」を販売している。このガイドは、同じアプリアイコンを使用してClubhouseを探しているAndroidユーザーを意図的に混乱させることを目的としている(Googleはこのような価値の低い、あるいは侵害的なコンテンツをPlayストアから排除する気はないようだ)。
"clubhouse" on android pic.twitter.com/uFtilOislC
— Sarah Perez (@sarahintampa) March 2, 2021
Android 上の「Clubhouse」 pic.twitter.com/uFtilOislC
最近では、サイバー犯罪者もこの活動に参加するようになった。彼らは、ユーザーを騙して自分たちの悪意あるアプリをダウンロードさせるために、Clubhouseの偽バージョンを作成し、Clubhouseのウェブサイトのよくできた複製サイトへ導くことさえある。こうしたのアプリの中には、Facebook、Twitter、Amazonなどを含む450以上のサービスのユーザーのログイン認証情報を盗む、マルウェアBlackRock(ブラックロック)を拡散するものがあることが判明している。
デイヴィソン氏はタウンホールでこの問題を取り上げ、AndroidでClubhouseになりすまそうとしているアプリをみかけたら「有害な可能性があるので」使わないようにとユーザーに警告した。
彼は「それが本物のClubhouseではないことは確かです。PCの場合でも同じです。ClubhouseにはPC用のアプリはありません」と述べ、デスクトップ版Clubhouseは同社にとって優先度の高いものではないと付け加えた。
タウンホールではその他にもさまざまな発表があったが、特に注目すべきは、クリエイター向けのツールを充実させる計画だった。これらは、クリエイターが自分の番組の視聴者を増やし、さらには、直接支払い、購読、ブランドスポンサー、さらには 「有料イベント」などの手段で自身のイベントを収益化することに重点を置いている。Clubhouseは、メンバーシップの管理や、リスナーやリテンション(継続率)に関する指標を把握するためのツールも提供する予定だが、具体的なツールの内容や提供時期については詳細にはなっていない。
タウンホールイベントでの発言内容についての詳細なコメントを問い合わせたが、Clubhouseはまだ応じていない。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Clubhouse、Android、音声ソーシャルネットワーク
画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket via Getty Images
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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)