coincheckが国際間の不動産売買にもビットコイン決済を提供開始

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ビットコインの購入サービスcoincheckを運営するレジュプレスは、アジアの富裕層向けに不動産販売事業を展開する株式会社世界と業務提携し、ビットコインを通じた不動産販売を実施すると本日発表した。また、販売の第一弾として、香港の投資家が熱海のリゾートマンションの一室を購入したことを明らかにした。

レジュプレスは、現在ビットコイン取引所coincheck exchangeとビットコイン決済サービスcoincheck paymentを運営している。レジュプレスのCOOを務める大塚雄介氏に今回の業務提携について話を聞いた。株式会社世界は、台湾や中国の投資家向けに日本の不動産情報の発信や不動産販売を行っている会社だという。2014年における同社の販売実績は10億円に上り、今年はさらに実績を伸ばす見通しだそうだ。しかし、世界は国際間の不動産売買には時間がかかるという問題を抱えていたという。海外の投資家を日本の不動産の内見にアテンドし、投資家がその場で購入を決めたとしても、決済をすぐに行うことはできない。海外送金には1週間近くかかる場合もあり、投資家が日本を訪れることの多い週末には銀行が営業していないことも多い。着金が確認できなければ、不動産の権利を渡すことができないため取引が滞る。世界には取引完了までのスピードを短縮するためにビットコイン決済を使用できないかという投資家からの問い合わせが多くあったという。世界はビットコイン決済サービスを展開するcoincheckを知り、協力できないかと話をしたところから今回の業務提携に至ったと大塚氏は説明する。

今回の提携に先駆け、12月6日にビットコイン決済で香港の投資家が熱海にリゾートマンションの一室を購入したという。coincheckを用いた不動産売買のスキームは次の通りだ。投資家は物件価格分のビットコインを購入し、世界のcoincheckのビットコインウォレットに送金する。振り込まれたビットコインはリアルタイムで日本円に換金され、coincheckは最短翌営業日に売上を世界の銀行口座へと送金する。ビットコイン決済を用いると、海外送金が最短で翌日には完了する。また海外送金の手数料は通常3000円ほどかかるが、coincheckならビットコインのブロックチェーンを更新するために必要な0.0002BTC(約9円)とウォレットから銀行口座に振替えるための300円の手数料ですむ。

不動産に限らずcoincheckにはビットコインを海外送金に利用したいというユーザーからの問い合わせが増えていると大塚氏は言う。その背景に、海外送金は時間がかかり手数料が高額なこと、送金の進捗が確認できないこと、そして為替レートの変動を受けやすいという問題があると大塚氏は指摘する。ビットコインなら取引はリアルタイムで着金もすぐに確認でき、そのような問題をほぼ解消できるという。また、ビットコイン決済を導入する店舗も広まっていると大塚氏は言う。特に海外からの観光客の要望を受けることの多い、北海道や京都、鹿児島でビットコイン決済を導入する店舗が増え、11月時点でcoincheckを導入するサービスは813社になったという。店舗側としては決済が素早く確実であることに加え、アプリをダウンロードしてアカウントを開設するだけと導入方法が簡単であること、そして基本料がなく、決済手数料も1%とクレジットカードより低コストで導入可能なことがcoincheckのビットコイン決済が支持される理由だと大塚氏は話す。「骨董品やアート作品の高額商品の売買を行っているアートギャラリーからの問い合わせもあり、国際間の決済手段としてビットコインの注目が高まっています」と大塚氏は言う。

この数ヶ月でcoincheckの月間取引高は急伸している。8月の取引高は3億円ほどだったが、11月には30億円を突破した。ビットコインは決済手段の他に株やFXのような金融商品として注目が集まっているのも取引高が急伸した理由の一つであると大塚氏は説明する。取引額が100万円以上となるユーザーが全体の23%を占め、ビットコイントレーダーが増えているのだそうだ。12月7日からはレバレッジ取引と1万円キャッシュバックキャンペーンを始め、そのようなユーザーの要望にも積極的に対応する考えだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

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