対向車がある状況での左折(右側通行の場合)は、ロボットにとっても人間にとっても難しい。対向車の進路を横切る際の判断の基準が複雑なだけに、運転の中でも最も難度の高い行動と言える。もちろん自動運転車にとっても最大の課題の1つだ。人間は、対向車の運転者のしぐさなどを観察して、安全な左折のタイミングを計っているのだから、なおさらだ。
ゼネラルモーターズの自動運転車部門であるCruiseは、米国時間の5月23日、24時間で1400回の左折を成功させたというビデオを公開した。そのテストは、サンフランシスコの起伏に富んだ混雑した道路で実施された。ビデオを見ると、自動運転車が注意深く交差点に入り、対向車が通過するの待って左折する様子が捉えられている。場合によっては、車は強気の動きを見せ、間髪を入れずに左折することもある。公開されたビデオに写っているのは4つの例だけだが、Cruiseによれば1400すべての場面を撮影しているという。ビデオには、横断中の歩行者がいる場合の走行場面は写っていない。
「サンフランシスコのように、予測が非常に難しい交通環境では、左折の際の状況は毎回異なっています」と、Cruiseの社長兼CTO、Kyle Vogt氏は発表の文書で述べている。「普通に1400回も安全に左折できたので、エンジニアが分析して学習するための十分なデータを集めることができました。その結果は、他の難しい状況にも対応できるプログラムの開発に役立ちます」。
自動運転車を開発する会社は、実際の走行から収集されたデータを重視することが多い。成功例であっても、失敗例であっても、実際のデータの分析結果が既存のモデルに加味されて、その後の自動運転を改善するのに役立てられる。この場合も、短時間で1400の成功例が得られたことで、Cruiseのエンジニアの仕事は忙しくなるはずだ。
Cruiseは、180台のGeneration 3の車両をカリフォルニア州の公道でテストする認可を得ている。今回のテストを完了するのに、何台の車が必要だったのかは明らかにされていない。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)