他プレイヤーの顔を見ながら「D&D」などのテーブルトップPRGをオンラインで楽しめるRole

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で対面の集会が制限されるにもかかわらず、テーブルトップPRGはかつてないブームの真っただ中にある。ゲームマスターや一般的なプレイヤーがリモートでプレイする際に使用しているツールはパワフルだが、必ずしも使いやすいものではなく、とっつきやすいともいえない。このたび、シードラウンドで275万ドル(約3億円)を調達したRole(ロール)は、ロールプレイングゲームのコミュニケーションという側面に焦点を当て、使いやすいオンラインプラットフォームでこの状況を変えたいと考えている。

ほんの数年前まで地下に引きこもったヲタク中のヲタク、ニッチの中のニッチというイメージだったテーブルトップPRGの世界が、何をきっかけに驚異的な成長を遂げたのかはわからない。しかし、その隠れた巨人が計り知れない多様性と価値のあるもので、パンデミックに直面しても驚くほど粘り強かったことは明らかだ。

このチャンスを逃さず、「Roll20」「Fantasy Grounds」などのプラットフォームが、Dungeons & Dragons(ダンジョンズ&ドラゴンズ、D&D)や戦略ゲーム、その他の一般的なテーブルトップPRGをプレイできるオンラインのビデオコラボレーションプラットフォームを提供している。

しかし、Roleの共同設立者であるLogan Dwight(ローガン・ドワイト)氏とIan Hirschfeld(イアン・ヒルシュフェルト)氏は、これらのプラットフォームのアプローチはメカニズムを重視する傾向があり、RPGにはそれよりももっと重要な側面があると感じていた。

「他にも選択肢はあるのに、なぜプレイヤーはインターネット上でD&Dをプレイすることを選択するのだろうと考えました。そして、その理由は『人』だと気がついたのです」とドワイト氏は話す。「ゲームは人々の心の中に存在する社会的経験の共有です。すなわち、会話や顔を見ながらのコミュニケーションが重要なのです」。

画像クレジット:Role

「これは何か新しい、大きなものの始まりである」と2人は言い、その例として10年前に爆発的に普及したソーシャルゲームを挙げた。

2人は次のように話す。「人々は常に新しい遊び方を模索します。当時、人々はソーシャルメディアや携帯電話で交流しており、自然とそれを使った遊び方を探すようになりました。昨今のオンライン動画の爆発的な普及とゲームクリエイターの躍進により、私たちはまた別の変曲点に差しかかっています。動画の品質が上がり、当たり前のものになり、人々の社交手段として主流となっています。そうなれば人は自然とこれを使った遊び方を探すようになります。そして、探し物は私たちの目と鼻の先にあることがわかりました。70年代から存在する会話形式のゲーム、ロールプレイングゲームです」。

Roleのプラットフォームは、複雑なゲームの仕組みをスムーズかつシンプルにして、プレイヤーの視覚と認知を最優先するためにゼロから設計された。結局のところ、D&Dやその他のゲームをプレイしているときに何を見ているかといえば、ゲームボードよりもプレイヤー同士を見ている時間の方が圧倒的に長い。なぜなら、それはお互いに楽しむためのゲームだからだ。

「顔を見ながらのコミュニケーションを優先する」と書くのは簡単だが、実際にはこれらのゲームはメカニカルに複雑でシート、ダイス、マップ、ルールブックなどが存在する。ドワイト氏は、それらを常に視界に入れておくことが問題なのではなく、シンプルで直感的にアクセスでき、ゲームプレイに熱中できるようにすることが重要だと話す。

例えばいくつかの属性とそれに関連するボーナスが記載されたキャラクターシートと、標準的な戦闘エンカウントがあるとする。ゲームマスターの準備が十分でなければ、ダイスの目に手動でボーナスを加え、その結果を防御側のモンスターのシートと手動で比較する必要があるかもしれない。しかし、ボーナス、ダイス、モンスターのステータスがすべてお互いに認識されていれば、ダイスが振られた時点でヒットしたかどうかがわかる。

複雑に見えるが、手動でスクリプトを組むのに比べれば楽勝だ(画像クレジット:Role)

これは多くのゲームで可能だが、必ずしも簡単ではなく、公式のルールブックから離れるほど難しくなる。ゲームごとのハウスルールはよくあることだが、最近では、大手ゲーム会社の「公式」サポートを受けないWizards(ウィザーズ)のようなオープンライセンスのルールブックをもとに、あらゆるゲームタイプでバリエーション豊かなゲームが作られている。オンラインでプレイできるようにするには、何週間もかけて技術的に簡単とはいえない作業を行う必要があるかもしれない。

ゲームマスターやクリエイターの中には、こうしたシステムの複雑さを楽しむ人もいるが、ドワイト氏が指摘するように、コミュニティの拡大にともない、ゲームや技術以外のバックグラウンドを持つ人が増えている。

「テーブルトップPRGに参加する人たちのコアスキルは、作家のようなものです。だから、一緒に創作する機能は、簡単かつパワフルでなければならないのです」と2人は話す。「私たちは、テーブルトップRPGのためのSquarespace(ウェブサイトの構築とホスティングのためのサービス)のようなものを提供したいと思っています。私たちが提供するのはWYSIWYGエディターで、レゴが詰まった箱に相当するRPGです。コードに触れることなく、ゲームのテンプレート全体を作り、シートを調整し、アニメーションを作成して、それを簡単に共有することができます」。

Roleのプラットフォームではすでに何千もの作品が共有され「Mörk Borg」や「Lancer」のようなユーザーが作成したキャンペーンやゲームのバリエーションがすでに大きく成長している。

Roleは、最初にKickstarterで資金を調達し(構想は2015年に遡る)、その後いくつかのエンジェル資金を調達した。今回のシードラウンドは初めての本格的なベンチャーキャピタル資金の獲得となる。Konvoy(コンヴォイ)とLondon Venture Partners(ロンドンベンチャーパートナーズ)が共同で主導した今回の275万ドルのラウンドについて、ドワイト氏は、このチャンスを完璧に理解してくれる意欲的なパートナーを見つけられたことに満足している、と述べている。テーブルトップPRGの価値と多様性が急上昇していることに、業界のベテランたちをも驚いていることを考えれば、この投資は快挙である。

今回の資金は、プラットフォームの使いやすさ、アクセス性、拡張性に改めて焦点を当て、アーリーアダプター時代から学んできたことを実現するために利用される。Roleはゲームやシナリオのマーケットプレイス、オンラインストレージの追加などのプレミアム機能を通じて収益を上げる予定だが、友達と一緒にプレイしたいという一般ユーザーは、無料でサインアップしてすぐに利用することができる。

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画像クレジット:Role

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

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