自動運転バスや宅配便の自動運転プロジェクト「ロボネコヤマト」など、自動車関連テクノロジーの開発にも積極的に乗り出しているDeNA。2017年1月には「ロボットタクシー」をともに手がけていたZMPとの業務提携を解消したものの、同時に日産と自動運転車両の交通サービスのプラットフォーム開発を発表しており、自動車に関するサービスやソリューションを提供する事業を進めている。
そのDeNAが、今度はAIを活用したタクシーの配車アプリ「タクベル」の実用実験を開始する。この実験は横浜市と神奈川県タクシー協会との協力によるもので、横浜市の中区、西区およびJR横浜線沿線の東神奈川~長津田周辺の限定エリアを対象に、9月12日から10月31日まで実施される。実験中は、専用端末を搭載したタクシー約200台(1日に走行する車両は100台程度)が走行。DeNAは、神奈川県内では2018年1月以降での実用化を目指しており、神奈川県以外の地域へも順次導入を進めたい考えだ。
タクシーの配車アプリといえば、日本交通の子会社JapanTaxiが提供する「全国タクシー」が先行している分野だ。全国タクシーは6月の時点で、ダウンロード数が300万件を突破。エリアは47都道府県をカバーし、全国のタクシー台数の5分の1以上に対応している。また決済手段も増えていて、事前のネット決済のほかに、ウォレット機能による乗車中の支払いも可能だ。
後発となるタクベルでは、指定場所へのタクシーの配車依頼や、周辺を走行中のタクシーを表示する機能など、既存の配車アプリに搭載されている機能に加え、迎車地点で乗客と乗務員が効率よく出会えるよう、お互いの現在地を確認できる機能や、定型メッセージを送り合える機能が備わっている。決済は事前に登録したクレジットカードを利用するネット決済と車内決済を選択することが可能だ。
さらに、タクベルではAIを活用した「需給予測システム」が導入される予定だ。この需給予測システムは、運行中の車両から収集するビッグデータと、タクシー需要に関連する各種データを解析し、乗務員にリアルタイムに需給予測情報を提供するという。
タクベルは、iOSのみでの提供を予定。9月12日16時以降、こちらからアプリのダウンロードが可能になる。ダウンロードは無料。
DeNAでは、タクベルの提供により「将来的にはタクシーと乗客のマッチングを効率化し、乗りたい時により早くタクシーが見つかる環境を目指す」「タクシーの新たな需要を掘り起こすことにより、更なる深刻化が想定されるタクシー乗務員の労働力不足の課題解決に貢献したい」としている。