ニューヨークで開催中のTechCrunch Disrupt New York,で、今日(米国時間5/7)、YahooのCEO、Marissa Mayerは「Yahoo本体の評価額は事実上ゼロだ」という通説に反論を試みた。Yahooの時価総額は300億ドル以上あるが、Yahooが保有するYahoo JapanとAlibabaの株式の価値を差し引くと残りはほとんどゼロになってしまう。
TechCrunchのファウンダーにして遠慮会釈ない質問者のMichael Arringtonにこの点についての感想を尋ねられ、 Mayerは当然ながら「この評価は間違っている」と反論した。
Mayerは「投資家はこの数字をもっとよく考えてみるべきだ。Yahooの将来は明るく、現在の株価は大幅な過小評価だ」と述べた。これはある程度まで本当かもしれない。
YahooのAlibaba株の持ち分は現在260億ドルとなっている(Alibaba予定している株式上場の後はさらに値上がりするはず)。Yahoo Japan株の価値は90億ドル前後だ。合計すると350億ドル前後となる。ところが今日のYahooの時価総額は、344億ドルにすぎない。
MayerはArringtonとの対談の冒頭で「Yahooの運営は改善され、以前よりずっと健全な会社になっている」と強調した。また「CEOに就任以来、Yahooの人材の豊富さ、レベルの高さに私自身驚かされている」と賞賛した。
就任してからずっと強力に進めてきたモバイル化の戦略がビジネスを現実に改善しているのかという質問に対して、Mayerはイェスと答えた。Yahooの前四半期の決算ではトラフィック獲得コスト(TAC)除外売上がアナリスト予測を上回った。これも月間4億3000万といわれるモバイルのアクティブ・ユーザーからの収入によるところが大きい。
なるほど1期だけの結果では、これが偶然なのか趨勢なのかを言うのは早すぎるかもしれない。
しかしMayerの戦略とビジョンは正しいと思われるし、Yahooという巨艦は間違いなく舵を切り始めている。ともかくYahooが過小評価されているのは事実だ。そもそも健全に利益を上げている企業の時価総額が手持ちの現金および現金同等物の価値以下というのがおかしい。上場後にAlibabaの株価が上がり、Yahooの株価が変わらなければ、Yahoo本体の評価額は大幅なマイナスになってしまう。
Yahooの中核事業の価値がマイナスだとはとうてい言えないだろう。
ただし、今日の市場ではテクノロジー株が軒並み急落し、そのあおりでYahooの株も時間内取引で6%下げている。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)