DJIがスェーデンの名門カメラ・メーカー、ハッセルブラッドを買収

2017-01-06-dji-hasselblad

DJIは2016年にスウェーデンを代表するカメラメーカー、ハッセルブラッドの少数株主になった。このとき両社はハイエンドのドローン・カメラの分野で協力していくことを発表した。DJIがドローン空撮のテクノロジーを、ハッセルブラッドがカメラを提供するという仕組みだ。

最近のLuminous Landscapeの報道に基づいてTechCrunchが独自に取材したころによれば、DJIはハッセルブラッドを買収した。直接の買収契約ではないが、DJIはハッセルブラッド社の株式の過半数を取得したという。時代を象徴する出来事の一つだ。

ハッセルブラッドは1941年の創立で、一時は市場でもっとも進歩したカメラとして知られていた。NASAが60年代に宇宙での活動を記録するカメラとして採用したことは有名だ。アポロ計画で撮影された印象に残る月面写真の数々はハッセルブラッドのカメラで撮影された。一方、DJIは急成長を続ける商用ドローン市場の最大手で、ベンチャーキャピタルが支援する非公開の中国企業だ。

ハッセルブラッドのカメラは高品質で知られるものの、一眼レフ・ボディーが数千ドルから4万ドルという一般ユーザーにはとうてい手が届かない価格だ。そこでDJIがどうやってハッセルブラッドの品質を維持してカメラを製造するつもりなのか、どのようにハッセルブラッドのテクノロジーを利用するつもりなのかについて興味が持たれる。

938a8029

DJIは当面ハッセルブラッドを独立企業として従来どおり運営を続けさせるようだ。しかしハッセルブラッドのカメラはDJIのドローン・ハードウェアに簡単に組み込めるものなのか? それともDJIはハッセルブラッドのカメラ・テクノロジーを利用して、Phantomタイプでまったく新しいカメラ・ドローンを内製するのだろうか? どちらにしても成功すれば両社にとって大きなメリットがあることになる。

ともあれ、DJIのカメラは非常に高品質だ。ドローン・カメラとしては世界でトップかもしれない。しかしDJIはプロ写真家が好むような高級なブランド・イメージに欠けている。ハッセルブラッドの買収はブランド価値の面でDJIに好影響を与えるはずだ。また―商業的にはニッチ市場だが―超高級カメラのテクノロジーを自由に利用できることになる。

残念ながらハッセルブラッドの超高級カメラに特化した戦略はうまくいっていない。同社は最近ビジネス的に失敗を繰り返しており、何度も所有者が変わった。最近の例でいえば2011年にヨーロッパのファンド、Ventizzが買収している。今回の買収でハッセルブラッドは中国だけでなくアメリカやアジアにも強力な拠点を持つ強大なメーカーを親会社にすることになった。

両社と直接ビジネスを行っている業界情報源が買収を確認しているものの、DJIは従来から外部にほとんど情報を出さないことで知られている。DJIの広報担当者は「DJIとハッセルブラッドの提携について新しいニュースはない。われわれは引き続き提携を続け、世界最高のイメージング企業を目指している」とだけコメントした。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。