Eloquent Labsが150万ドル調達ーAI+担当者+クラウドソースの新しいサ―ビス

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Keenon Werlingは、恐らく対話型AIが過大評価されていると最初に認めた人物だろう。そんな彼が最近設立したEloquent Labsは、他社のようにきらびやかなディープラーニングならぬディーパーラニングのアルゴリズムを売り出す代わりに、人間というもっとローテクな力を使ったサービスを開発している。カスタマーエクスペリエンス向上のための彼らの秘策は、AIとAmazonのMechanical Turkのようなクラウドソース、そして従来のカスターマービス担当者の融合だ。

本日Eloquent Labsは、シードラウンドでKhosla VenturesXSeed CapitalAlchemist Accelerator、エンジェル投資家などから150万ドルを調達したと発表した。

同社のビジネスモデルは、Elleと名付けられた対話型AIアシスタントを、Shopifyを利用しているオンラインショップに組み込み、配達状況の確認や返品処理、キャンセル、よくある質問への対応など、一般的なカスタマーサポート機能をスモールビジネスに提供するというものだ。このようなビジネスはこれまでにも存在したが、ここにクラウドソースが融合することに彼らのユニークさがある。

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左からSydney Li、Gabor Angeli、Keenon Werling、Brandon Maddick、Tian Wang

まずDigital Geniusのような企業は、以前からカスタマーサポートにおける「人間+AI」の活用をうたっている。例えばセーターを返品したいという人がシームレスなサービスを受けられるようにするため、ほとんどのスタートアップはシステムがどこで諦めるべきかに関するトレーニングを行っている。こうすることで、顧客とAIアシスタントのやり取りがとんでもない方向へ向かうのを防ぎ、顧客の質問内容がAIの処理できる範囲を超えると、人間の担当者が出てきてスムーズにやり取りを引き継ぎ、問題を解決できるようになっている。

この人間と機械の連携によって、企業はかなりのコストを削減してきた。Werlingによれば、小売企業は人間の担当者が関わるたびに平均で5ドル消費しており、逆に言えば機械が問題を処理するたびに、企業は自動的に5ドル得しているのだ。

しかしEloquent Labs設立の背景には、ほぼ機械がこなせるという十分な確証がないようなタスクに人間の担当者をあてがうことで、企業は未だに無駄なお金を使っているという考えがある。

Werlingは、AmazonのMechanical Turkのようなクラウドソースを利用した機械学習の研究を大学で行っていた。クラウドソーシングプラットフォーム上では、何十万もの人々が比較的簡単な作業をオンラインで請け負うことで収入を得ている。Eloquent Labsは、Mechanical Turkと人間の担当者、そしてAIを組み合わせることで、企業のコストをさらに抑えるようとしているのだ。

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実際のところ、ほとんどの機械学習は情報の分類の問題だ。誰かがチャットに文章を入力すると、機械がそのよくわからない文章を予め準備したリストと照らし合わせて、どうにか分類しようとする。もしも質問内容が商品の配達日に関することだと機械が自信を持って判断できれば、これは簡単な話だ。

しかし質問内容に(例示のためにかなり簡略化しているが)”オーダー”や”配送”といった単語が含まれていない場合、”DHLの予定”というフレーズが62%の確率で商品の配達日を示していたとしても、それは実際に機械が配達日に関する回答をするには十分な確率ではないのだ。従来のサービスであれば、ここで企業の担当者が出てきてフレーズの意味を判断するのだが、Eloquent Labsはこの段階でクラウドソースを利用している。

コスト削減以外にも、このアプローチには利点がある。クラウドソースを通じて仕事を請け負っている人は、Elleが処理できなかったタスクを引き継ぐと同時にEloquent Labsの機械学習モデルのトレーニングも行っているのだ。このような利点は全て、訓練もなしにオンデマンドで短い間だけ仕事をお願いすることができるクラウドソースのおかげで成り立っている。

営業・ビジネス開発面において、Eloquent Labsは発展段階にあるため、まだ同社のサービスに対してお金を払っている企業は存在しない。Zendeskのような巨大な競合がいるため、WerlingはAppleの戦略をまねて、まずはエグゼキューションを完璧にしようとしているのだ。

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さらにElleは、人間と機械の連携における他の問題の解決にも役立つようにつくられている。例えば”見習い”モードを使えば、重要な顧客とのやりとりをElleに任せられると感じるまで、企業はElleが生成した回答を手動で承認・却下することもできる。

プロダクトの開発にあたり、Eloquent Labsはうまく課題に優先順位をつけられているようだ。人間の担当者にふられたやりとり(全く意味をなさないような質問)を再度機械に戻すといった機能を搭載することで、同社はさらにプロダクトを進化させられる可能性を持っている。一方でこのような双方向の連携は、現状のAIの性能を考えると大変難しいため、同機能を省いたのはEloquent Labsの賢い選択だと言える。しかし競争の激しい市場の中で、最終的には彼らもさらに他社との差別化を図る必要が出てくるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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