Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

「Fortnite(フォートナイト)」の開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)は米国時間9月12日、Apple(アップル)との法廷闘争における先週の判決を不服として控訴した。判決の中で連邦判事は、Appleは開発者に対し代替決済のリンクを追加することを阻止することは許されないとしながらも、Appleを独占企業と判断するまでには至らなかった。後者が実現した場合、Epic Gamesは、iOSユーザーにサービスを提供するための代替手段として、サードパーティのアプリストアや、Google(グーグル)のAndroid OSと同様にサイドローディング機能をAppleのモバイルOSに組み込むことなどを主張できるかもしれない。

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米連邦地裁の判事は、Appleが「反トラスト法に違反していない」という立場に同意し、また、アプリやゲームのエコシステムにおける同社の成功を「違法ではない」と判断したため、Appleは直ちにこの裁判での勝利を宣言した。一方、Epic Gamesの創業者兼CEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は、今回の判決は開発者にとっても消費者にとっても勝利ではないと述べた。同氏はTwitter(ツイッター)で「我々は戦い続ける」と述べ、同社が判決を不服として控訴する可能性を示唆していた。

Epic Gamesは、9月12日に公開された控訴の申立て(下記参照)の中で、米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ)判事の最終判決と「その判決に至るまでの、またはその判決を生み出すすべての命令」を控訴する意向を正式に表明した。

同判事の判決の一部として、Epic Gamesは、iOSのFortniteに代替決済システムを導入した際に得た1200万ドル(約13億2000万円)のうち30%をAppleに支払うよう命じられていた。これは当時、Appleとの法的契約に違反していた。

控訴審では、Epic GamesがAppleが独占企業として行動していると主張していた市場を、ゴンサレス・ロジャーズ判事がどのように定義したかが再検討される。両者の希望に反して同判事は、特に「デジタルモバイルゲームトランザクション」の市場と定義した。控訴された場合、裁判所がEpic Gamesに有利な方向に意見を変えるかどうかはわからないが、新たな判決によって、ユーザーを外部の決済方法に誘導したいと考えている開発者にAppleがどのように対応しなければならないのか、差止命令で使われている曖昧な表現が明確になる可能性がある。

これまでのところ、開発者コミュニティの間では、Appleは「リーダーアプリ」カテゴリーの例外を、すべての非リーダーアプリ(購入したコンテンツへのアクセスを提供するアプリ)に拡大するだけではないかと予想されている。Appleは最近、リーダーアプリがユーザーを自社ウェブサイトに誘導することを認め、日本の規制当局と和解した。こうしたウェブサイトでは、ユーザーはアカウントにサインアップしたり管理したりできるが、その中には、例えばNetflix(ネットフリックス)やSpotify(スポティファイ)の購読料を支払っている顧客も含まれる。Appleは、この変更はグローバルに行われると述べている。

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だがAppleは記者への説明の中で、Epic Gamesとの判決で出された差止命令の詳細については、まだ調整が必要であると述べている。判決が出て間もないこともあり、この変更が開発者にどのような影響を与えるかについては、まだ開発者と連絡を取っておらず、App Storeのガイドラインに新しい文言を追加することもしていないとのこと。

Epic Gamesは、現時点では控訴の決定についてこれ以上の発表はないとコメントしている。

 

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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