EUの包括的コンテンツ削除命令の中止を求め、FacebookのザッカーバーグCEOが訴訟へ

Facebookは欧州の最高裁判所と戦うつもりだ。米国時間10月3日に同法廷は、EU諸国が現地法に違反するコンテンツを包括的に削除するようFacebookに命令できるとする裁定を下した。

しかし本日、CEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はライブストリーミング配信された社内Q&Aで「これは、われわれも他の会社も戦うべき問題だ」と語った。

同氏は、Facebookはこれまでに行き過ぎた削除要求との「戦いに勝利」してきたと説明した。さらに「裁定が具体的にどのように適用されるかは欧州各国の裁判所によって異なる」ことも指摘した。

Facebookは本日New York Timesに提供した声明で、欧州司法裁判所の裁定は「1つの国が他の国の言論に対して自国の法律を強いることはできないという長年続いている原則を覆すものだ」と語り、この決定は「インターネット企業は特定の国で違法になる可能性のある言論を監視、解釈、削除する役割を果たすべき」だとする問題を表面化させるものだとも語った。

Zuckerberg Live QA

ザッカーバーグ氏は最近ライブストリーミングでのQ&Aを実施していなかったが、Facebook社内では毎週行っている。The VergeのCasey Newton氏がリークされたFacebook全社ミーティングの2時間にわたる音声データを公開したあとも、同氏は隠すことはなにもないことを示そうとしている。

質問前の発言でザッカーバーグ氏は、米国のウィリアム・バー司法長官が公開書簡で、米国、英国、およびオーストラリアがFacebookに対して、暗号化のメッセージングアプリ全体への拡大を中止するよう要求していることも話題にした。「これは非常に深刻な問題と捉えている」とザッカーバーグ氏は言った。「我々はさまざまな正当性のバランスを取ろうとしている。児童虐待者やテロリストの摘発と、反体制派や一般市民のプライバシーや保護のバランスはその一例だ」。

ザッカーバーグ氏は、Facebookは暗号化されたアプリでも監視は可能であると主張した。「パターンを検出するためにできることはたくさんある」。例えば、Facebookで悪事を働くWhatsAppアカウントを停止したり、メッセージスレッドそのもの以外の不審な行動を分析することで「アップロード時に見つける」こともできると説明した。

同氏は、Facebookが規制当局による会社分割の企てを止めるために訴訟する可能性があると発言したことについて聞かれた。大統領候補のエリザベス・ウォーレン氏が企業分割を政策の中心としていることから、彼女の発言を届きにくくしたり、支援者の有権者登録を回避しようとするのではないかという議論があることについても語った。

ザッカーバーグ氏は具体的にもしFacebookがそれを理由にエリザベス・ウォーレン氏が大統領になることを心配しているのだとしたら、我々が公平であり、彼女やほかの候補者たちの声が確実に届くようにしていると、どうやって信じてもらえるだろう」と言い、「私がいいだろうと思うことに人々が同意してないとしても、それでも私はその人たちに発言の機会を与えたい。我々は常に、人々が表現したいことを自分たちの好き嫌いよりも優先させなければならない」。

もちろん今日のセッションでは、リークされたQ&Aセッションよりも用心深かった。ある時ザッカーバーグ氏は、これはプライベートな会話ではないので「Dating」(日本未公開の出会い機能)のデータは公開しないと言った。それでも今回のトークによって、Facebookの政治的立場が激動の時を迎えていることは明らかになった。

ザッカーバーグ氏はQ&Aの最初に、今回のセッションを一般公開することについて「自分はインタビュー対応が下手すぎるので、失うものはなにもない」からだと冗談を言った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。